神社に続く参道の両側には、茶店や土産物を売る店が軒を連ねていた。そよ風が土地
の名物を謳う赤や緑の幟旗を揺らし、甘い菓子の匂いを運んでは道行く旅人を誘って
いる。その神社を過ぎると北へ向かう細道があり、それまでの華やかさが嘘のような
土壁で囲まれた旧家が、ぽつりぽつりと建っているだけの寂しい場所につながってい
た。そんな中に「泉水」の女将、瑞恵の別宅が在った。

その瑞恵の別宅の広い敷地の中には、昔ながらの土蔵があるのだが、そこが千鶴の淫
売修業の場となっているのである。今しも土蔵の中から、千鶴の舌足らずな悲鳴が響
き渡ってきた。

「あぁ〜〜〜っ!もう、もう、堪忍して〜、瑞恵様ぁ!」

天井に剥き出しになった太い梁からぶら下がる裸電球の淡い光の中に、千鶴の白い裸
身が狂おしげに悶え蠢いていた。瑞恵の思惑どおり、千鶴は姉を見捨てることなど出
来ようはずもなく、自ら底知れぬ淫乱地獄へと堕ちてゆく道を選んだのである。

「うふふ・・、まだまだ音を上げるのには早いよ!もっと艶っぽく尻を振りなさいっ
てさっきから何度も言ってるでしょ。」

すぐ目の前で淫らに蠢く千鶴の秘肉に瑞恵の底意地の悪い視線が注がれている。その
千鶴の羞恥の秘肉は、今や、真っ赤に火照り夥しい淫水を、あとからあとから噴き出
しているのだ。

「どうやら、少しは淫売牝らしいおまんこになってきたじゃないの。これからは、そ
うやって来る日も来る日も、いやらしいおまんこ見せつけながら客を誘って生きてい
かなきゃなんないんだから練習だと思って気を抜くんじゃないよ!」

瑞恵の厳しい声が飛ぶ。千鶴は今、「赤貝踊り」と呼ばれる破廉恥極まる淫芸を仕込
まれているのである。それは「山吹屋」の娘として育った清楚な千鶴にとっては気の
狂うような惨めで恥ずかしい踊りだった。土蔵に転がっていた頑丈な造りの収納用の
木箱を二つばかし横に並べて、その上に古畳を一枚載せたものが急拵えの千鶴の修業
用の舞台となっているのだが、今そこでは全裸の千鶴がストリッパー顔負けの破廉恥
ポーズで腰を淫らにうねらせているのだ。大きくM字型に両足を拡げ、その上片手で
体を支えながら腰を浮かせてて誇示するように秘肉も尻の穴もさらけ出しているので
ある。そしてその格好で瑞恵の指図のままに艶っぽく腰をうねらせて尻を振らねばな
らぬのだ。千鶴の剥き出しの股間の前に、でんと腰を据えている瑞恵の目には、「赤
貝踊り」の名の如く千鶴の秘肉が浅ましく舞踊っているように見える。千鶴は透き通
るような白い裸身を仰け反らし黒髪を振り立てながら激しい喘ぎ声をあげ続けている
のだ。それは何時間も淫らな踊りをさせられる屈辱と疲れからだけではなかった。

「さぁ、もっともっと、いやらしいおまんこにおなり。」

瑞恵は冷酷な薄笑いを浮かべながら、傍らの丼茶碗と筆を手に取った。丼茶碗の中に
は、催淫剤と痛痒剤を混ぜ合わせた、どろりとした液体が入っている。それをたっぷ
りと柔らかい筆の穂先に吸わせると、目の前でうねり舞う千鶴の秘肉に、ぴちゃぴち
ゃと撫でつけるのである。

「ひぃ〜〜〜っ!」

もう何度目とも分からぬおぞましく冷たい媚薬の感触に狂ったような悲鳴をあげる千
鶴。それは秘肉を熱くとろけさせ、千鶴の官能をいやがうえにも燃え上がらせる。更
に筆先がはしなくも突起した肉芽に触れた瞬間、千鶴の口から獣のような絶叫があが
った。

「あぐぅうぅ〜〜〜!」

秘肉の合間から淫汁が溢れ出す。

「ほら、お客様の前だと思って、教えたとおりに媚びてごらん!」

ここが頃合いとばかりに瑞恵の指示が飛ぶ。すると、肉体の疼きが理性を焼き尽くし
たかのように、千鶴の口から躊躇いもなく媚声があがるのだ。

「あぁ〜ん、お客様ぁ、見て、ねぇ見て、千鶴のまんこ、良く見てぇ〜、」

「あらあら、「山吹屋」の御嬢様がはしたない。」

意地悪な瑞恵の嘲笑に、我に返った千鶴は身も世もなく悔し涙を流して身悶える。

(あぁ、姉さん、許してね・・千鶴はこんな浅ましい女に・・)

「ほら、片手が空いてるだろ!その指使って、いやらしくおっ立った貝柱を剥き身に
してサービスしないかい!」

千鶴の哀しみなど意にも介せず、瑞恵の厳しい指図が続く。

「もうすぐしたら、雪乃と二人並べて「赤貝踊り」させてやるからね!三味線と猥歌
に合わせて踊る二つの赤貝は、さぞかし見物だろうねぇ。」

瑞恵は、客の前で宿の女将たる雪乃と千鶴の二人が自ら秘肉を剥き出しにして、惨め
な「赤貝踊り」を披露する姿を思い浮かべながら、さもこぎみよさそうに笑みを浮か
べるのであった。


               @@@


薄暗い土蔵の中で、厳しい淫芸修業に千鶴が狂い泣いている頃、「泉水」の奥座敷で
雪乃もまた地獄の中で悶えていた。座敷には白髪のまざり始めた髪をきりりとアップ
に結い上げて、浅葱色の仲居服を着た、見るからに陰険な貌だちの女が座布団の上に
まるで、小唄か生け花の師範のように凛として座っている。そしてその直ぐ目の前で
は酸鼻なる淫乱絵巻が繰り広げられているのだ。

座敷に敷かれた赤い蒲団の上に、雪乃の真っ白な裸身が、鮮やかな対象をなして横た
わっている。そしてその白い肉体に、これまた全裸の浅黒い男どもが5人、ぴちゃぴ
ちゃと淫らな音を立てながら獣のようにむしゃぶりついていた。ふっくら盛り上がっ
た乳房から柔らかに息づく腹部、そして優美な曲線を描いて伸びる太股からふくらは
ぎまで、処構わず5つのざらついた舌先が這いずり廻る。やがて一人の男の唇が雪乃
の柔肉に挑むように喰らいつく。それまで必死に歯を食いしばって耐えていた雪乃が
、溜まらず身を仰け反らせて喉の奥から、絞り出すような声をあげる。

「あぅ〜〜ぅ。」

雪乃を淫売牝へと堕とす為、もう幾日淫らな修業が繰り返されてきただろう。それは
雪乃の肉体を少しずつ少しずつ、甘美なる媚肉へと変貌させ、それと同時に「山吹屋」
の女将としての誇り、いや人間としての尊厳すら日一日と完全なる崩壊へ導いていた
のである。

「いひひ・・「山吹屋」の若女将がこんな派手に、牝汁垂れ流す女だとはねぇ!」

雪乃の柔肉に喰らいついて、そのそそり立った肉芽を舌先で転がしながら男が呟く。
その言葉通りに雪乃の蜜壺からは、止めどなく淫蜜が溢れ出していた。

「あっ、あぁ〜〜ん!」

燃え上がった肉体を止める術は、もう雪乃には無かった。

(あぁ、もう、もう、このまま地獄に堕ちてもいい・・・)

理性も誇りもかなぐり捨てて、雪乃の腕は乳房を吸っている傍らの男を掻き抱き、媚
肉を貪る男の舌の動きに合わせて、自ら腰をうねらせる。

「ようやく淫売牝らしくなってきたじゃないの。その調子で、ちんぽのおねだりもし
てごらん!」

これまで、この淫靡な光景にも眉ひとつ動かさずに、じっと見守っていた女がそう言
って口元を曲げて微笑んだ。この女は「泉水」の仲居がしらとして、長年に渡り瑞恵
の元で働いてきた女で、名を澄子と言う。瑞恵同様に嗜虐嗜好の持ち主で旅館業のみ
ならず、今では様々な瑞恵の嗜虐遊びに無くてはならない片腕的存在となっているの
である。

今日も留守中の瑞恵の代行として、「泉水」の従業員や出入りの業者から好き者らし
い男どもに声をかけ、その獣たちに雪乃の体を、まるで餌のように投げ与えて、楽し
んでいるのであった。まさにそのどん欲な男どもの姿は、哀れな獲物に群がり、その
美肉を貪るハイエナを思わせた。そしてハイエナどもに体中を貪り喰われながら一匹
の牝獣と成り果て牡獣の為に体を開いてゆく雪乃。

(あぁ、千鶴。「山吹屋」の暖簾を汚して堕ちていく姉さんを許して・・)

激しい肉欲の疼きが、雪乃の脳裏から妹の面影を奪うように連れ去ってゆく。真っ白
になった意識の中で、雪乃は自ら股を開いて濡れそぼった媚肉を晒し、男を誘って、
くねくねと尻をうち振りながら反射的に教え込まれた台詞を口にするのだ。

「ね〜、早く、早く、雪乃のまんこにちんぽを喰わえさせくださいな。」

舌足らずの甘い牝のおねだりが、牡の本能を燃え立たせた。熱い肉棒がとろけるよう
な媚肉に包まれ雄叫びをあげて暴れ狂う。そして待ち切れぬとばかりに、別の肉棒が
肛門を貫いて雪乃に狂乱の悲鳴をあげさせる。5匹の牡獣の嵐のような蹂躙の中で、
悩ましくのたうち回り歓喜の叫びをあげ続ける、白い牝獣と化した雪乃の姿。

(うふふ・・、どうやら、うちの女将さんの計画も、このまま上手く運びそうだわ。)

長い長い阿鼻叫喚の淫乱絵巻がようやく幕を閉じ、牡獣どもの放った精液にまみれて
転がる雪乃の体を平然と見下ろしながら、澄子の目は妖しく輝いた。


              @@@


納戸部屋の小さな格子窓から差し込む月明かりが、雪乃の肌を青白く染めている。黴
の匂いのする狭くて暗い、この場所に雪乃が飼われるようになってから、もう幾月が
過ぎ去ったであろう。牢獄のような部屋でも、一人きりになれるこの場所だけが雪乃
にとって、ささやかな慰めの場であった。今此処には修業の名目で課せられた、惨め
で屈辱的な淫猥地獄の日々に、精神からも肉体からも、かっての若女将としての矜持
は完膚無きまでに奪い取られ、牝となって生きていくことのみ許された雪乃の哀しみ
で満ちている。

(いまごろ、千鶴はどうしているかしら?そして・・「山吹屋」のみんなは・・)

雪乃には「山吹屋」の従業員は充分な退職手当を支払われた上で解雇され、「山吹屋」
そのものは新しく生まれ変わるために改修作業中であると聞かされていた。そして千
鶴がこの町を出ていったとも・・・出来るだけ穏便に計画を進める為に、「山吹屋」
の従業員達に充分すぎる程の手当が支払われたのは本当であるが、千鶴の事は勿論嘘
である。

(あぁ、千鶴・・姉さんは身も心も汚れ果ててしまったわ。あなたは遠い処で、きっ
と幸せになるのよ・・もう一度・・もう一度だけ、あなたの顔を見たかった・・・)

残酷な再会の時が迫っているのも知らず、雪乃は妹の幸せを願い、止めどない涙を零
しながら咽び泣くのであった。そんな時である、ガタガタと引き戸を開ける音に雪乃
は、はっとして身を固くした。雪乃にとって、これほど忌まわしい音はなかった。最
初の頃のそれは死にたい程の羞恥と屈辱への恐怖として、そして今では妖しい被虐の
喜びさえ覚えつつどこまで堕ちゆくかも知れぬ自分への恐怖として・・

(あぁ、また地獄へ曳き出されるんだわ・・)

引き戸を開けて入ってきたのは瑞恵であった。雪乃は弾かれたように絶対服従を示す
犬のチンチンポーズをとって出迎える。爪先立ちでしゃがんだ両足を精一杯開いて性
器を露出させ飼い主への忠誠を誓う惨めなポーズである。このポーズが雪乃に飼われ
る身だと言う自覚を、いやがうえにも呼び覚ます。そして浅ましくも、熱く火照り潤
い始める雪乃の女そのものが身震いするほどの妖しい戦慄を感じさせる。

(うふふ・・・いい気味だねぇ、「山吹屋」の美人女将が、今じゃ大股開きでおまん
こ濡らしながら、お出迎えしてくれるんだから。)

満足そうな笑みを浮かべ、不安と戦慄におののく雪乃を嗜虐に光る目で見下ろしなが
ら瑞恵は口を開いた。

「さぁ、今夜は久し振りに剛蔵さんがいらっしゃったわ。ふふふ・・、おまえにとっ
ては愛しい旦那様だったわねぇ、ここで覚えたこと忘れずに、たっぷりサービスして
可愛がってもらいなさいな。」

雪乃が瑞恵に飼われるようになってから何故か一度も剛蔵は姿を見せなかった。雪乃
が死ぬほど嫌いぬいた男。そしてこの淫肉地獄へ雪乃を導いた憎い男である。だが今、
剛蔵の名を聞いた雪乃の心に言いようもない不思議な感情が湧き起こるのをどうしよ
うもなかった。かつてはいやいやながら妾として仕えた男に妙な懐かしささえ感じる
のだ。あの醜い容貌も今では愛おしい。それは雪乃生来の情の深さが、例え一時では
あっても妾として仕えた男を知らず知らず慕っていたのかもしれない。そしてなによ
りも此処に来てからの瑞恵や澄子による同性からの辱めの数々、昼となく夜となく、
見も知らぬ大勢の男達に玩具にされてきた異常な体験が、久し振りに聞いた剛蔵の名
に本当なら絶対に生じることのない感情を起こさせたのであろう。

「なによこれは?・・・、剛蔵さんの逞しいちんぽを思い出して、もうこんなに濡ら
してるのかい?まるで、さかりのついた牝犬じゃないか!」

瑞恵は毒づきながら、雪乃の剥き出された股間に白足袋の足をぐりぐりと押し当てる。

「くぅ〜っ!」

隠しようもないおのれの肉体の反応に雪乃の白肌が朱に染まる。

「まぁいいわ!今夜はうんと、おめかししなきゃねぇ。暫くしたらまた迎えに来るか
ら、これを着ておくんだよ。それから、ちゃんと紅をひくのも忘れるんじゃないよ!」

瑞恵はぞんざいに言い放つと持っていた風呂敷包みを放り投げるや、ぴしゃりと引き
戸を閉めて立ち去った。

(あぁ、私はまた堕ちていく・・・・)

雪乃は観念したように化粧道具を引き寄せる。手鏡を手に取り、人差し指に紅を掬う。
清楚な雪乃には不似合いの毒々しい程の赤い紅で唇が彩られていく。

(私は淫らな娼婦・・・牡を誘う牝・・)

鏡に映る自分の貌に向かってそっと囁いてみる。体の奥からじ〜んと痺れるような感
覚が湧き上がる。そっと手で女の秘唇に触れると、そこからは熱い滴りが溢れ出して
いた。これまでの淫ら修業で肥大させられた肉芽がヒクヒクと疼いているのが浅まし
い。その肉芽も雪乃は紅で彩っていく。牝化粧として教えられたのだ。瑞恵に投げ与
えられた風呂敷包みを解くと出てきたのは緋色の襦袢であった。遊郭の遊女が身に付
ける鮮やかな緋襦袢である。

(今の私には、これがお似合いなのね・・・)

哀しく微笑んで緋襦袢に袖を通そうとした時、はらりと落ちる物があった。それを見
た雪乃の表情が一瞬凍り付いた。

(こ、これを着けろとおっしゃるの・・)

それは小さな布きれとしか思えない、見るからに淫靡なデザインのバタフライだった
のである。恥部を覆うのが精一杯の広さの布が蝶ともハートともとれるような形にあ
しらってある。その上、金色のラメが一面にちりばめられて、きらきらと破廉恥な輝
きを放っていたのだ。


                @@@


雪乃は瑞恵の後について、おぞおずと暗い廊下を歩いていた。帯を巻くのは許されず
羽織っただけの緋襦袢からは、歩く毎に雪乃の真っ白な太股がちらちらと覗いている。
瑞恵はふと立ち止まって雪乃の方を振り返った。正面から見る雪乃の姿は女の瑞恵さ
え、ぞっとするほど妖艶さを漂わせていた。だらりとはだけた緋襦袢の間からは白桃
のような乳房が垣間見え、燃えるような緋色に包まれた雪乃の肌の白さが目に染み入
るようである。その姿は観音様のような気高ささえ感じさせる。そんな中で雪乃の秘
部に食い込んだ金ラメに輝くバタフライだけが場違いで下品な色気をムンムンと振り
まいているのだ。

「どうだい?おまんこ隠せて嬉しいだろう?隠せるのは女将になる者だけの特権だよ。
ありがたく思うんだよ。」

そう言って瑞恵はクスクス笑った。いづれ計画中の宿が完成すれば雪乃をこの淫靡な
姿で女将として働かせるつもりなのである。

「は、はい、ありがとうございます・・」

(ま、まさか恥部を隠すことが、これほど屈辱的だなんて・・)

雪乃にとっては全裸より恥ずかしかった。

「その格好で尻振り踊りでもしてみせたら男は涎垂らして喜ぶだろうねぇ。剛蔵さん
も、きっと気に入ってくださるわよ。今夜はお尻ふりふり精一杯甘えると良いわ。う
かうかしてると他の女に剛蔵さん盗られるかもしれないから気をつけるのね!」

皮肉を込めて瑞恵は微笑んだが、今の雪乃にそこまで気付く余裕など無い。やがて再
び暗い廊下を歩きはじめた。ひとつふたつ角を曲がった先が今宵の座敷であった。

「さぁ、此処が今夜の御座敷だよ。」

この襖を開けると剛蔵がいる。雪乃の心は妖しく揺れ動く。あの剛蔵に遊女より惨め
に堕ちぶれた今の姿を見られることが耐え難いほど辛かった。そしてその一方では目
覚めさせられた雪乃の中の牝が、浅ましくバタフライを濡らしているのだ。そんな雪
乃の耳に襖を通してはっとするような声が聞こえてくる。それは紛れもなく濡れ場で
漏らす女の喘ぎ声に違いなかった。

「だ、誰が・・・?」

思いもかけぬ成り行きに顔色を変えて瑞恵に問い掛ける雪乃。

「この襖を開けてみればわかるわよ!ふふふ・・」

悪戯っぽい含み笑いをしながら、瑞恵は襖に手をかけた。少しづつ開かれていく襖の
間から垣間見える淫猥な光景に雪乃の心臓が凍り付く。そこには剛蔵とそのあぐらの
上に跨って淫らに尻をうねらせている女の姿があったのだ。女はちょうど雪乃に背を
向けているので貌まではわからなかった。剛蔵の首っ玉にしがみつき、激しい喘ぎ声
をあげながら、どん欲に腰を前後左右に突き動かす様は、まるでポルノ映画に出てく
る外人女のようである。ショートカットにした黒髪から覗く細いうなじの白さが鮮や
かだ。ほっそりした背中から滑らかに盛り上がる腰にかけてのラインが雪乃に勝ると
も劣らぬほどに美しかった。雪乃より一回り小さいが、弾けんばかりに豊かにふくら
んだ尻に若々しい力が漲っている。何より雪乃に息を呑ませたのは、激しく出入りす
る剛蔵の浅黒い巨大な男根を、夥しく溢れ出す愛液でぬらぬらと濡らしながら喰わえ
込む女の媚肉の卑猥さだった。雪乃たちに気がつきもせず女は、獣のような喘ぎを漏
らし続ける。そして、ちらりと女がその横貌を見せた時である、雪乃の体を突き抜け
るような戦慄が走った。

(まさか、まさか・・・)

怖ろしい不安に雪乃の鼓動が早まった。その時、女の口から歓喜の叫びがほとばしる。

「あぁ〜ん、、やっぱり剛蔵様のちんぽは大きくて逞しいわぁ〜。」

雪乃の貌から、みるみる血の気が退いてゆく。

(ひぃーーーーーーっ!ち、千鶴・・・・・)

それは紛れもなく我が妹の声だったのだ。

「ねぇ、ねぇ、剛蔵様ぁ・・千鶴、イッてもいいですか?お、お願い・・もう、イカ
せてぇ〜!」

耳を疑いたくなるような妹の嬌声だった。あの千鶴が、これほど淫らな女に変貌して
いようとは到底信じられない。雪乃の意識が、すぅーっと遠のき崩れ落ちそうになる
体を瑞恵が、がっしりと受け止める。

「ちょいと、しっかりおしよ!だから言ったろう、うかうかしてると剛蔵さんが盗ら
れてしまうってさ!うふふ・・でも、さすがに妹に盗られるなんて思いもしなかった
ろうけどねぇ。」

耳元で意地悪く囁く瑞恵の声が、千鶴の絶頂を迎えた生々しい叫びにかき消される。

「あっ、あっ、あぁあぁ〜〜!イクっ、イクうぅ〜〜〜!!」

背中を仰け反らせて、恍惚の表情を浮かべる千鶴の横貌が凄艶に美しい。剛蔵の怒張
を喰い締めたまま、その余韻を味わい尽くすかのように、真っ白な双臀がぴくんぴく
んと震えてる。そして、精魂尽きたように千鶴は、がっくりと剛蔵の肩に貌を落とす
のだった。

「ふふふ、、良かったぞ千鶴。」

千鶴の耳元に剛蔵が囁いた。

「あぁ、剛蔵様に満足して頂いて、千鶴うれしい・・」

剛蔵の唇に、そっと自分の唇を重ねる千鶴。ふたりの舌を吸い合う音が長く長く続く。

「あらあら、もういい加減にしときなさいな。」

思いもかけぬ瑞恵の声にハッと後ろを振り向いた千鶴の貌が見る見る青ざめてゆく。

「いやぁあーーーーーーーっ!」

千鶴の絶叫が響き渡る。

「千鶴、どうして・・・どうして・・」

雪乃もまた悲痛な叫びをあげて、その場にくずおれるのだ。瑞恵と剛蔵は、目を見合
わせて、にやりと笑みを浮かべあう。

「雪乃、久し振りだな。暫く見ない間に、ずいぶん艶っぽくなったじゃないか!」

泣きじゃくる千鶴を膝の上に抱きながら、剛蔵の視線は、久し振りに見る雪乃の成熟
した肉体を舐め回すように這い回っている。

「どうして、どうして千鶴まで・・あれ程、お願い致しましたのに・・」

恨みに濡れた眼差しで剛蔵を見やる雪乃の貌は、ぞっとするくらい凄艶だった。愛す
る妹を守る為にこそ、身を堕として、この地獄に耐え抜いてきたのではなかったか・・。

「おいおい、そんな怖い目で睨むな。千鶴は自分の意志で此処にきたんだ。そうだな
千鶴?」

「あぁ、許して・・姉さん。姉さんだけを地獄に堕として私一人で生きていけないわ、
だから・・だから・・私は・・」

千鶴の言葉は嗚咽に飲み込まれて消えていく。

「千鶴、なんて馬鹿なことを・・」

姉を思う妹の心情が雪乃に痛いほど伝わってくる。それだけに自分たち姉妹の残酷な
運命を呪わずにはいられなかった。だがそんな悲痛な哀しみに満ちた姉妹再会も瑞恵
の叱責する声で忌まわしい現実へと、すぐに引き戻されるのだ。

「いつまで、めそめそしてるんだい!おまえたちのお勤めを忘れるんじゃないよ!」

瑞恵の容赦ない言葉に、雪乃と千鶴は哀しい眼差しで無言のうちに見つめ合う。二人
には恥知らずな牝となって生きてゆくことだけが許されているのだと・・・

(もう、もう、引き返せない・・千鶴・・姉さんと一緒に地獄へ堕ちましょう・・)

(姉さんとなら、どんな地獄へでも千鶴はついてゆきます・・)

いま哀しい再会を果たしたばかりの姉妹は、非情にも、淫らな牝たちの饗宴へと追い
立てられてゆく。

「さぁ、千鶴、久し振りに逢えた姉さんに、いやらしく生まれ変わったおまんこ見て
もらおうな!」

剛蔵は肉棒を媚肉に喰わえさせたまま、抱いている千鶴の体を、強引に千鶴の方へと
向けさせた。そして太い腕で千鶴の両足を抱きかかえてM字型に割開いてみせるのだ。

「いやぁああ〜〜!」

あまりの恥ずかしさに貌を背けて悲鳴をあげる千鶴。その媚肉は、かつての清楚だっ
た千鶴からは想像も出来ないほど、醜いばかりに赤黒い淫肉に変わり果て、どん欲な
食肉植物のように、溢れ出る蜜液でぬらぬらと濡れ光りながら男の肉棒を喰わえてい
る。そして肥大化させられた肉芽がまるで牝であることを証明するかのように、浅ま
しく屹立しているのだ。

(ひぃ〜〜っ!)

我が妹の、余りにも変わり果てた姿に、声も出せずに呆然と立ち尽くす雪乃。剛蔵に
何事か耳元で囁かれた千鶴が、消え入りそうな声を出す。

「ね、姉さん・・千鶴は・・千鶴は・・こんなに立派なおまんこにして頂きました・・」

言い終えた千鶴の目に涙が溢れた。

「ほら、今度は姉の方が自慢のおまんこ披露する番だよ!」

今度は瑞恵が雪乃に求める。目の前で羞恥に泣きむせぶ千鶴の姿・・雪乃の心に、ひ
とつの哀しくも強き決意が芽生えようとしていた。

(千鶴、もう泣いてはだめ。・・・この怖ろしい運命の中で私達は生きて行かねばな
らないの。・・・牝となって淫ら地獄に悶え狂うのが私達の定めなら、定めの通り、
どこまでも恥知らずな牝になってみせましょう。・・それが私達の救われる只一つの
道なのですもの。)

雪乃の肩から緋襦袢が滑り落ちた。燃えるような緋色が雪乃の足元に波うつ。そこに
立つ真っ白な姉の裸身の神々しさに千鶴は息を呑んだ。雪乃は千鶴の目を見つめなが
ら優しく微笑むと、股間を覆って猥褻に輝くバタフライの細紐に、白い指先を伸ばし
た。艶っぽく腰を振りながら片方の結び目を解く。はらりと落ちた布きれの端から黒
い翳りが覗いている。

(ふふふ・・、雪乃は、いい牝になったな。)

雪乃の覚悟を悟った剛蔵は、そう心の中で呟く。瑞恵は突然とも思える雪乃の変化を、
呆気にとられて眺めているだけである。やがて最後の結び目が解かれるとバタフライ
は雪乃の太股を滑り落ちた。両足を拡げるとぐっと腰を突き出して、秘唇を晒す。更
に指先でその亀裂をV字型に押し広げて剥き出しにする雪乃。とろりと蜜液が糸を引
いて太股を伝う。

「ねぇ。よく見て、千鶴。姉さんのおまんこも、あなたに負けないわよ。」

ぞっとする妖艶な笑みを浮かべて、自分を見つめる姉の視線に、千鶴は姉の無言の言
葉を、確かに感じ取った。

(姉さん・・)

涙に濡れた視線で答える千鶴。雪乃は二人の元に歩み寄ると、千鶴を抱いたままの剛
蔵の横に、そっと跪いた。

「旦那様、お久し振りでございます。」

逞しい剛蔵の腕に乳房を触れさせながら、その耳元に甘く囁く雪乃。さすがの剛蔵も
圧倒的な雪乃の色気に声もなく頷くのが、やっと言う風情である。

(これだ。これが千鶴にはない雪乃の凄みなのだな。)

千鶴の媚肉の中で再び、剛蔵の男根がみるみる力を漲らせてゆく。

「あっ!」

千鶴の腰がびくんと驚く。

「さぁ、千鶴、いつまでも抱いて頂いてちゃだめでしょ?可愛がってくださった剛蔵
様のおちんぽにお礼して後始末させて頂かなきゃ!」

優しく諭すような雪乃の言葉に千鶴は「はい。」と頷き、ゆっくり剛蔵の膝の上から、
まっ白な双臀を離れさせる。じゅぽっと音を立てて剛蔵の男根を吐き出す千鶴の媚肉。

「あん!」

思わず甘い吐息を漏らして座り直した千鶴は、隆々と天を向く剛蔵の男根に、そっと
唇を寄せていくのだった。しなやかな舌先が肉茎をなぞり回る心地よさに息を荒げる
剛蔵。赤黒い怒張が青筋を浮き立たせながら、ますます力強さを増していく。懸命に
舌を這わせて自分の愛液で汚れた肉棒を舐め清める千鶴であったが、剛蔵にすれば、
まだまだ未熟な舌技ではあった。

「雪乃。」

剛蔵は静かに雪乃の名を呼んだ。傍らで妹の幼い舌技を優しく見守っていた雪乃には、
剛蔵の言わんとしている事が、すぐに分かった。

「千鶴、姉さんにも手伝わせて。」

雪乃の娼婦のように紅く彩られた唇が、剛蔵の男根を愛しく激しく愛撫しはじめる。
姉と妹のふたつの柔らかい舌がグロテスクなほど筋張った男根の上で絡み合うのだ。
雪乃の舌が、こうするのよとばかりに、ちろちろと蠢きながら裏筋をなぞりあげて
みせると、それに習って今度は千鶴の舌がなぞりあげてゆく。ぴちゃぴちゃと卑猥
な音を立てて雁のくびれはこうして叩くように舐めあげるのと雪乃の舌先に教えら
れて、千鶴の舌も激しく雁首を愛撫する。姉による妹への淫らな淫らな舌技指導で
あった。

(あらあら、一体どうしたって言うのかねぇ。)

黙って成り行きを見ていた瑞恵は、苦笑を浮かべて剛蔵に問い掛けるような眼差しを
送る


(まだ分からぬのか。雪乃と千鶴が淫売姉妹への道を受け入れたことに・・)

おまえの望み通りにな・・そう心の中で呟いて剛蔵は、じっと目を閉じた。雪乃と千
鶴の柔らかな舌先の感触が、何故か堪らなく愛おしかった。そしてこの先にこそ本当
の地獄が姉妹を待っているのだ・・そんなことを思うと、雪乃と千鶴が柄にもなく不
憫に思える。

(ふふっ、俺も焼きが廻ったかな。)

くすりと笑って目を開けると、瑞恵が睨むようにこちらを見つめていた。なんだか心
の内を見透かされたようで剛蔵は、きまり悪るげに笑って見せた。

(どうやら瑞恵の方が俺の上手を行くようだ。こうなったら、どこまで雪乃と千鶴が
堕ちてゆくか最後まで見届けさせてもらおう。)

四つん這いになって剛蔵の股間に貌を埋めた、雪乃と千鶴の二つの双臀が、瑞恵の前
で悩ましく揺れている。ぴちゃぴちゃと絶え間なく響く淫猥な舌音。瑞恵の左右の指
先が雪乃と千鶴の秘肉をかき分け、まるで品定めするように、その濡れた肉襞をなぞ
り回す。二人の尻が、ぴくんと震えた。

(うふふ・・・どうやら淫売姉妹が誕生したようね。でも、これからよ本当の地獄を
見るのは・・ふふふふ・・・・)

二人の牝汁にまみれて糸を引く指先を見つめながら瑞恵は、冷たく微笑む。雪乃の紅
い唇が今、剛蔵の怒張を深く深く喰わえ込もうとしていた。




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第五章 淫売姉妹誕生