「桜風会」は、老舗旅館の女将たちからなる親睦会である。その世話役を引き受
けているのが「泉水」の女将である瑞恵であった。そして今日その「泉水」の奥
座敷には瑞恵に招かれて10人ばかりの女将たちが集まっていた。本来は年に一
度、桜の咲く季節に集まって、同業者同士の情報交換や四方山話で、お互いの親
睦を深める為に開かれる集いであるが、今回は、雪乃と千鶴の人間廃業式との名
目で、瑞恵が特別に呼び集めたのである。

瑞恵は今日に先立って、各旅館の女将を一人一人訪ねていた。その訳は勿論、雪
乃と千鶴が如何にして浅ましい身の上となったかを、自分たちに都合良く話して
聞かせ、二人を嬲り物にする仲間に加える為であった。瑞恵の話に、何処の女将
も驚かぬ者はなかったが、瑞恵は巧みな話振りで相手を嗜虐の世界に引き込んで
いったのである。美人姉妹と名の売れた雪乃らに内心、嫉妬していたところもあ
ったのであろうか、女将たちは瑞恵の話に深く興味をそそられるばかりか、最後
には嗜虐の暗い喜びに妖しい胸のときめきさえ覚えたのだった。こうして雪乃と
千鶴は、かつての女将仲間の前と言う、最高の屈辱の舞台に立たされる事になっ
たのだ。


              @@@


「今日は、お忙しいところ皆さん集まって頂いてご免なさいね。雪乃と千鶴も、
こうして皆さんに来て頂いて、とても喜んでおりますのよ。」

美しく着飾った和服姿の女将たちが、一同に居並ぶ光景は華やかそのものである。
瑞恵も今日はいつにも増して美しく着飾っている。アップに結い上げた髪が凛々
しくも女将らしい気品を漂わせていた。

「では皆様お揃いになったところで、雪乃千鶴姉妹の人間廃業式を執り行わさせ
て頂きますわ。」

隣り座敷と仕切ってある襖が瑞恵の手で開かれると、女将たちの間から一斉にど
よめきが湧き上がった。そこには全裸の雪乃と千鶴が、両手を頭の後ろに組んで
脇の下を晒し、足は大きく拡げて、恥部を誇示するように腰を突き出す格好で並
び立たされていたのだ。二人の細首に、黒い犬の首輪だけが嵌められている。し
かもそれだけではない、二人の乳房や腹や太股、体中の至る場所に男どもの口で
吸われた痕が、生々しい赤い痣となって残っているのだ。そして姉妹の赤黒い淫
肉は牡獣の精液と牝獣の吐いた蜜液でまみれ、太股まで濡らしている。それもそ
の筈、たった今まで二人の姉妹は、ひとつ床の上に並ばされて何匹もの牡獣ども
に餌として与えられ、その美肉をむさぼり食われていたのである。乱れた黒髪と
薄桃色に染まった肌が激しい牡と牝の肉の交わりの痕を物語っていた。

「あらためて紹介しますわね、これから淫売牝姉妹として再出発する雪乃と千鶴
でございます。」

かつては同じく着飾って席を共にしていた女将仲間の前に、今こうして落ちぶれ
た惨めな裸身を晒して雪乃は、全身の血が逆流するような深い屈辱に、その白い
裸身をうち震わせている。その横には今にも泣き出しそうな貌で、気も狂うよう
な羞恥地獄に歯を食いしばって耐えている妹の千鶴がいた。突き出された二人の
濡れた恥毛が、ふるふると震えている。

「さぁ、この浅ましい雪乃と千鶴の体を、皆様よ〜く御覧になってやってくださ
いな!」

女将たちの蔑みと嗜虐に満ちた視線を全身に感じながら、隠すことも許されぬ雪
乃と千鶴である。

「ほら、皆さんおまえたちの為にわざわざ集まってくださったのよ。ちゃんと御
挨拶なさい!」

瑞恵の厳しい声がとぶ。

(あぁーーーっ、千鶴・・耐えて・・耐えてちょうだいね・・)

瑞恵から教え込まれた挨拶のやり方は、二人にとって死にたいほど屈辱的なもの
だった。雪乃と千鶴は、くるりと回って背中を向けると両足は大きく拡げたまま
前屈みとなって自分の足首を掴んだ。女将たちの目の前に二人の真っ白な双臀が
並ぶ。変わり果てた雪乃と千鶴の尻穴と秘裂が剥き出しとなって晒されているの
である。

「きゃーーっ!」

思わず悲鳴をあげたのは、雪乃とは歳も近い若女将の絵里子であった。こうして、
まざまざと女の秘部を目にすることなど、そうあるものではない。ましてやそれ
は、以前から良く知っている雪乃と千鶴の信じられないほどに無惨な女肉の姿な
のである。

(くぅぅーーーっ、絵里子さんにまで、こんな浅ましい姿を見られるのね・・・)

絶望的な屈辱に雪乃の太股がわなないた。

「うふふ・・、ご免なさい!まだお若い絵里子さんに、こんな凄いものお見せし
ちゃってショックだったみたいね。でも気になさらないで、雪乃と千鶴はね、こ
れからは何時だって、こうして尻の穴からオマンコまで剥き出しのまま生きてい
かなくてはなりませんのよ!それもこの二人が望んで、そうしたいって言ってる
んだから、呆れるでしょう?」

そう言って笑う瑞恵と一緒に、他の女将たちも嘲笑の声をあげる。雪乃と千鶴の
目から無念の涙が、滴り落ちた。

「ほら、おまえたち、挨拶はどうしたんだい?これだけの女将さん方を前にして
恥ずかしがってるんじゃないだろうねぇ?いいかい、恥ずかしいってのは人間様
の感情だよ!おまえたちは、人間止めて犬猫以下の生き物になるんだろう?これ
からは誰にでも「けつの穴」見せろと言われたら喜んで見せるんじゃないのかい?
どうなんだい!」

瑞恵は怒声と共に、雪乃の尻を思い切りひっぱたいた。

「ひぃ〜〜〜〜っ!は、はい・・どなた様の前でも喜んでお見せ致しますわぁ!」

「ふふふ・・・そうやってマンコと「けつの穴」見せて客を誘うのが淫売牝女将
の仕事なんじゃないのかい?おまえたちは、そうやってこれから、おまんまを食
べていくんだろ?そんな恥知らずな手段で客を呼ぼうなんて旅館業者の面汚しも
いいとこじゃないか!それがわかってるなら、こうして集まってくださった女将
さん方に、浅ましい姿晒しながら御挨拶して、お許し願うのが当たり前じゃない
の!」

(くぅ〜〜〜っ!)

瑞恵の厳しい言葉に、もはや抗うすべもない姉妹であった。唇を震わせながら屈
辱の挨拶を始める雪乃。

「み、皆様・・本日は、私たち姉妹の・・・に、人間廃業式にお立ち会いくださ
いまして・・うぅっ・・ま、誠にありがとうございます。こ、こうして尻をお向
けして御挨拶させて頂きますのは、甚だ失礼ではございますが・・け、けつの穴
とマンコをお見せするのが淫売牝としてのお作法でございますので、ど、どうか
お許しくださいませ・・」

震える声で挨拶する雪乃の言葉が涙につまる。

「まぁ、そんなお作法があるなんて勉強になりましたわ!さぁ私たちにお気兼ね
なく先をお続けになって!」

集まった女将たちの一人から意地悪い揶揄がとんだ。

「くぅうーっ!わ、私たち姉妹は・・ず、ずっと清純を装ってきましたが、持っ
て産まれた、い、淫乱の血は押さえられず・・うぅっ、此処にいたって本性をさ
らけ出し、淫売牝姉妹として再出発することとなったのでございます。こちらに
おられます瑞恵様には、こんな私どもを哀れに思って頂き、私たち姉妹の飼い主
になって頂いたばかりか、淫売牝としての修業までさせて頂き・・か、感謝の言
葉もございません。その上、本日はこうして皆様方の前で人間廃業の日を迎えさ
せて頂き、雪乃と千鶴は本当に嬉しゅうございます。こ、これからは犬猫以下の
動物として生き恥をさらしながら生きていく覚悟でございますから、皆様、ど、
どうぞ宜しくお願い致します・・」

言い終えたあとで激しく嗚咽する雪乃。その隣では千鶴もぼろぼろ涙をこぼして
泣いている。

「まさかとは思ってたけど、ホントに人間やめちゃうらしいわねぇ。これからは
私たちもお望みどおり、あなた方を犬猫以下に扱って差し上げますわ!よろしく
って?」

「ほほほ・・・、雪乃さんと千鶴さんが、こんな恥知らずな方だとは存じません
でしたわ!呆れて物も言えませんわ!」

口々に嘲笑する女将たち。なかでも絵里子の言葉が、ひときわ雪乃の心に突き刺
さる。

「雪乃さん、私・・私、あなたを心から軽蔑いたしますわ。」

(あぁーーっ、絵里子さん・・おっしゃらないで〜っ!)

歳の近い絵里子は、これまで一番、仲の良い女将仲間だった。その絵里子にさえ
見放され軽蔑されてしまったのだ。

「それでは挨拶も済んだところで、次に入らせて頂きますわ。」

ざわめきがひとしきり止んだ頃を見計らって瑞恵が声をかけた。

「この二人には、犬猫以下になる証として、この場で下の毛を丸めて貰うことに
なってますのよ!どうか雪乃と千鶴の再出発を祝って元女将仲間の手で、二人の
陰毛をつるつるに剃り落としてやってくださいな。」

(あぁーーっ、とうとうこの時が来たのね・・)

それは雪乃と千鶴にとって、まさに人間から動物にさせられる時であった。しか
も少し前までは、同じ女将仲間だった女達の手によって・・・

「ほら、特別に剃毛台まで用意してやったのよ!さっさと、その上にあがりなさ
いな!うふふ・・そうねぇ、ポーズはこの前教えた『オマンコ見てぇ〜!』のポ
ーズがいいわね!」

くすくす笑いながら雪乃と千鶴を追い立てる瑞恵。瑞恵はこれまで二人に、客に
媚びを売る為の様々な破廉恥ポーズを仕込んでいたのである。

(くぅぅーーーっ!)

強烈な屈辱を噛みしめながら雪乃と千鶴は台上に並んで、言いつけられたポーズ
をとる。それは仰向けに寝転び両足を高々ともたげてM字型に割りびらき秘部を
晒すと言う、女として最も屈辱的なポーズであった。それも自らの手で膝裏を抱
えて支えながら・・・

雪乃のすぐ横で、喘ぐような息を吐きながら千鶴が極限の羞恥に身を震わせてい
た。

(うぅっーっ!千鶴・・・とうとう、あなたを守ってあげられなかった・・)

この惨めな姿を見られることは、相手が同じ女だからこそ、より辛いものだった
のである。千鶴の気持ちを思う、雪乃の胸は張り裂けんばかりであった。

「皆様、よく御覧になってね!これが、この先何百何千の男を喰わえ込んで商売
する浅ましいオマンコと「けつの穴」ですのよ!」

耐えきれずに千鶴がすすり泣く。すでに嗜虐の喜びに取り憑かれた女将たちは、
そんなことは意にも介さず二手に分かれると、雪乃と千鶴の剥き出された恥部を
取り囲んで剃毛の準備に取りかかるのだった。冷たい石鹸水を毛先の太い筆に、
たっぷり含ませ二人の恥毛にぴちゃぴちゃと撫でつけてゆく。その冷たくおぞま
しい感触に、雪乃と千鶴の口から、ひぃーーっ!と風を切るような吐息が漏れる。

「うふふ・・こんなにいやらしく濡らして・・石鹸水なんて必要なかったかしら?
さぁ、覚悟はよろしくて?淫売らしく、つるつるに剃り上げて、いやらしいオマ
ンコ剥き出しにして差し上げますわ!」

じょりじょりと小さな音を立てて、元女将仲間の手により、雪乃と千鶴の翳りが
剃り上げられてゆく。雪乃のしっかり閉じられた瞼から一筋の涙がこぼれ落ちた。


               @@@


大勢の女将仲間の目前で、惨めに変わり果てた秘部を晒し物にされている雪乃と
千鶴。翳りを失ったそれは、いっそう卑猥さをまして、見る者の目を見張らさず
にはおかなかった。

「いやだわ、なんてグロテスクなんでしょ!それに見てよ、このクリトリスの大
きさ、同じ人間の女だとは思えないわ!」

「尻の穴なんか、もっと凄いじゃないの!ぱっくり口を開いて、いやらしいった
らありゃしない!」

「ほんと、牝って言葉がぴったりだわねぇ!」

浅ましく変わり果てた女肉を、まじまじと観察され嘲笑われて、雪乃と千鶴は息
も出来ないくらいの屈辱に打ち震えている。

「皆さん、これが「山吹屋」の若女将雪乃と妹千鶴の落ちぶれた姿ですのよ。ど
うぞ遠慮無く笑ってやってくださいな。ほら、おまえたちも黙ってないで何とか
言わないかい!」

情け容赦ない瑞恵の声が飛ぶ。

「うぅっ、「桜風会」の皆様方の手で、わ、私たち姉妹を・・本当の牝にして頂
き・・・こ、これほど光栄なことは・・ございません。この御恩を一生忘れず・・
ゆ、雪乃と千鶴は・・なおいっそう、ま、まんこと「けつの穴」に磨きをかけて
精進させて頂きますわ!」

唇を震わせながら雪乃が言い終えた時、どっと女達の嘲笑が起こった。

「ほほほ・・今言ったこと忘れるんじゃないよ。ところでこんな時に言うのもな
んだけどちょうど「桜風会」のメンバーが集まってることだし、今後の為にも皆
さんの前ではっきりさせときたいことがあるのよ。」

実はねぇ、と瑞恵が話し出した。

「まぁ、はっきり言ってしまうとお金のことなのよ。この前話したと思うけど、
新しく「山吹屋」を生まれ変わらせるにあたって、従業員への解雇手当や建物の
改装なんかで、ずいぶんお金がかかったの。それでこの際、その費用が誰の債務
かってことをはっきりさせときたいんだけど、ねぇ雪乃、あなたはどう思う?」

にっこりと笑う瑞恵だったが、その眼差しは蛇のように不気味である。雪乃に答
えの選択権など与えられてはいないのだ。

「も、もちろん・・私たち姉妹の債務ですわ・・」

「そう、それを聞いて安心したわ。それじゃ、かかった費用〆て五千万円、払っ
て頂こうかしら?」

(くぅーっ、「山吹屋」を奪っておいて、まだその上にそんな大金を払えと・・)

雪乃の目に悔し涙が溢れる。

「そ、そんな大金、今の私達に、どうやって払えとおっしゃるの・・」

涙声で雪乃は訴えた。

「ふふふ・・・そうよねぇ、人様の前で、こうしておまんこ剥き出しにしなきゃ
なんない程落ちぶれたお前達に、こんな大金払える訳ないわよねぇ。でも心配し
なくても良いのよ、私が立て替えといてあげるから。その代わり、「桜風会」の
皆さんの前で、ちゃんと誓約書に署名してちょうだいね!」

瑞恵は用意して置いた誓約書を懐から取り出して、雪乃の目の前に突き出した。

(ひぃーーーっ、地獄だわぁ〜〜!・・・)

驚愕で見開かれた雪乃の眼差しが誓約書に釘付けとなる。

            ###


           誓約書


瑞恵様に立て替えて頂いた¥50000000は、私ども姉妹
二人のオマンコを使って一生かけても御返済致します事を誓約
致します。

雪乃及び千鶴は借金返済の為、以下の事項を遵守致します。

一、私達姉妹は、毎日40人の客を取ることを最低ノルマと致
  します。

二、私達姉妹は、最低ノルマ達成が出来なかった時は、例え
  真夜中でも町中へ出てノルマ達成まで客引き致します。

三、私達姉妹は、営業活動の一環として裏ビデオ撮影は勿論、
  エログロ雑誌、屋外看板、チラシに至るまで、一切の
  目線も修正もなく素顔と秘部を晒される事を承諾致します。

四、私達姉妹の肉体管理は今後一切を瑞恵様に一任し、商売上
  どのような肉体改造を施される事も承諾致します。

            ###


残酷な誓約書を読まされた雪乃と千鶴の啜り泣く声が、周囲を取り囲む女達の嗜
虐心を煽り立てる。二人の屈辱的なポーズは、まだ解く事を許されず、秘部をさ
らけ出した姿のままなのだ。

「どう?借金返済の為ですもの、もちろんサインして頂けるわよねぇ?」

陰険な猫撫で声を出す瑞恵の指が、雪乃の秘唇を威嚇するようになぞっている。
おまえたちに選べる道は無いのだと・・・

「うぅっ、さ、サインさせて頂きますわ。」

雪乃の太股を掴んでいる白い指先が、わなわなと震えた。

「そう、良かった!じゃ早速お願いするわ。捺印もして欲しいけど、人間でなく
なった者に印鑑なんて必要ないわねぇ。うふふ・・代わりにおまえたちのおまん
こで捺印して頂けるかしら?」

(うぅっ!そんな・・惨めすぎますわぁあ〜っ!)

雪乃たちの嘆きにはお構いなく、用意されていた紅が瑞恵の指で二人の秘唇に塗
られてゆく。

「いやぁあーーー!やめてぇーーーっ!」

妹の哀しい叫びに、胸が潰れる思いの雪乃。やがて誓約書が二人の秘唇に押しつ
けられて卑猥な捺印が誓約書に赤々と印されるのだった。

「ふふふ・・・上手く採れたわよ。サインは後でしてもらうからね。この誓約書
は額に入れて、おまえたちが働く宿の玄関先にでも飾っといてあげるわ!」

女達から、どっと嘲笑の声があがる。

「さぁ、これですべて終わりましたわ。今日は本当に皆様、ありがとうございま
した。隣り座敷に御茶の準備が出来てますから、どうぞおくつろぎになってね。
そうそう雪乃と千鶴が今日の御礼に、「赤貝踊り」を披露したいと申しておりま
すので、ゆっくりと御笑覧になってくださいな。」

(ひぃ〜〜〜〜〜っ!)

雪乃と千鶴の貌がみるみる青ざめてゆく。まさか此処であの屈辱的な踊りを披露
させられるとは思ってもいなかったのである。

(ど、どこまで生き恥を晒せとおっしゃるの・・)

(いやよ、いやだわぁあ〜、あぁ!お姉さん・・)

残酷な瑞恵の思惑に、嘆き悶える雪乃と千鶴。隣り座敷では卓に集まった女将た
ちが茶飲み話を始めながら、賑やかな笑い声をあげていた。やがて三味線を抱え
た澄子が現れ、女将たちの話に加わって、けらけら笑いながら弦の調子を合わし
ている。座敷の片隅には紅い敷き布で飾られた卓が演台として用意されているの
だ。雪乃と千鶴の惨めな淫芸披露への準備が無情にも、着々と整ってゆく。

「ふふふ・・、こちらの準備も出来たわねぇ。そろそろ始まるよ。いいかい?教
えられた通りに、思い切り破廉恥に腰を振るんだよ。この芸はね、恥ずかしがっ
てちゃ務まらないよ!」

姉妹の耳元に、ドスの効いた低い声で囁く瑞恵。その瑞恵に、例の媚薬を塗られ
た姉妹の肉芽は「赤貝踊り」に相応しい見事な貝柱となって屹立しているのだ。

「ち、千鶴・・いいわね、もう私たちは此処で生き恥さらすしかないの。」

悲痛な声で、そっと妹に囁く雪乃。

「あぁ、もう私たちは人間ではないのね・・」

千鶴の哀しく閉じた瞼が震えている。

「さぁ、出番だよ!」

瑞恵にぴしゃりと尻を叩かれて、雪乃と千鶴は屈辱の演台へと歩み出した。

(これで、「山吹屋」の息の根も完全に絶えるのね。)

「桜風会」の女将仲間に笑われながら、踊り舞う二つの赤貝を思い描いて、瑞恵
は会心の笑みを浮かべるのであった。





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第六章 桜風会