剛蔵と泣く泣く妾の契りを結んだ、あの夕月の離れ座敷での一夜から、ひと月が経とうと
していた。土地の人間で雪乃が剛蔵の妾となった事を知らぬ者はいない。心ない噂話も流
れたが、雪乃の辛い心情を知る、山吹屋の従業員たちの誰一人として雪乃を誹る者は無か
った。ただ何よりも自分の身代わりとなって、剛蔵の慰み者となる道を選んだ姉への申し
訳なさに涙を流さぬ日とてない、悲しみに暮れた千鶴の姿が痛々しかった。

「あぁ、お姉さん・・今夜もまた、お呼ばれになったのね?もう・・もう、お姉さんの悲
しい顔を見るのは嫌です。私が、私が参ります。お姉さん一人に、これ以上辛い思いをさ
せたくないわ!」

向かいの小料理屋の軒先に掛けられた提灯の明かりが、人目を忍ぶように、ひっそりと裏
口から出掛けようとする雪乃の憂いに翳った貌を、静かに照らしている。

「千鶴、あなたには何度も言い聞かせた筈よ。お姉さんには、あなたの幸せだけが只一つ
の願いなの、いつか良い人と巡り会って幸せな結婚をして・・そして・・そして・・・」

涙で声が途切れた。深い姉の愛情に千鶴の目からも、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。

「お姉さんの事なら大丈夫よ、あなたは何も心配しなくていいの。」

懸命に笑顔を作って千鶴に微笑んでみせると、雪乃は夕闇の中に歩み出た。


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剛蔵が今宵、待っている場所は、あの日と同じ夕月の離れ座敷であった。雪乃にとっては
辛く悲しいお座敷である。あれから剛蔵は執ように雪乃を呼び出しては、その肉体を貪っ
た。そして雪乃を、なお一層哀しい絶望に追い立てたのが、女体を責め辱める事に喜びを
感じる剛蔵の異常な性癖だったのである。またそれを記録として写真に収めておくのが剛
蔵の何よりの楽しみであった。剛蔵の持つ分厚いアルバムには妾となった女たちの淫猥な
姿が、所狭しと貼り付けられているのである。


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「どうだ、雪乃、そんな姿でけつの穴を晒す気分は?」

今、雪乃は座敷に据えられた大きな卓の上で、四つん這いとなって、むせ返るような艶っ
ぽい双臀を高々と差し上げていた。両手は後ろにまわして自らの手で柔らかな尻肉を押し
広げ剛蔵の嗜虐に輝く目に、女の最も恥ずかしい場所を晒しているのだ。捻った横顔で体
重を支えている雪乃の貌は羞恥で赤らみ、微かに開かれた唇の間から覗いている白い歯が、
かちかちと小さな音を立てて震えている。卓の前であぐら座りしている剛蔵からは、これ
から施されるであろう残酷な玩弄に怯えてか、ひくひくと引き攣る雪乃の肛門も羞恥の割
れ目も、まざまざと目にする事が出来るのである。

「ふふふ・・・、俺の、ちんぽを根元まで受け入れられるようになってから、雪乃のけつ
の穴も随分いやらしくなったもんだ。おい!どうした!旦那様の前で、けつの穴晒す時は
思い切りおっぴろげて奥の奥までご覧頂くのが妾の勤めだと教えてあるだろう!」

罵声と共に剛蔵は、平手で割拡げられた雪乃の尻肉を打ち据えた。

「ううっ〜」

雪乃の口から、か細い悲鳴がこぼれる。はぁ、はぁと激しい息を吐きながら必死になって
肛門を拡げようとする雪乃の惨めな姿が、剛蔵の嗜虐心を煽り立ててやまない。

「旦那様の目の前で、けつの穴おっぴろげておきながら黙っている奴があるか!」

剛蔵の平手が、再び雪乃の尻肉を打ち据える。

「ひぃ〜っ、も、申し訳ありません。旦那様っ!」

どのような言い方をすれば剛蔵が気に入るか、これまでに徹底して覚え込まされている雪
乃であった。

「あぁ〜っ、お見苦しい物お見せして申し訳ございません。こ、これが雪乃の、旦那様の・
・ち、ちんぽまで喜んで喰わえる、恥知らずなけつの穴でございます。今宵も、ど、どう
か雪乃の恥知らずなけつの穴を厳しくお躾けくださいませ!」

(くくぅーーっ)

惨めさで泣き出したくなるのを歯を食いしばって雪乃は耐えるしかない。剛蔵のカメラ
が雪乃の剥き出しにされた秘所を捉えて容赦なくシャッターの音を響かせる。

「あぁっ!旦那様、写真は、写真だけは堪忍してくださいませ!お願いでございますっ!」

そんな雪乃の悲痛な叫びが剛蔵に届く筈もなかった。

「くくくっ・・これが美人で名高い山吹屋の若女将、雪乃の「けつ穴写真」だと売り出
したら、涎を垂らして欲しがる男がごまんといるだろう。」

「いやぁーーーっ!」

雪乃が眉根をよせて絶望の悲鳴をあげる。もし本当に、こんな写真がばらまかれたらと
思うだけで、生きた心地もしない。

(もう、もうこの男から逃れられない・・・)

果てしない暗闇の世界に、どこまでも吸い込まれていくような恐怖に身震いする雪乃で
あった。

「俺の妾になる事が、どういう事か良く分かったか?自分から千鶴の身代わりを願い出
た事を今になって、後悔するなよ!」

(うぅ〜っ!)

剛蔵は雪乃の、今まで尻たぶを拡げさせていた両手を、今度は後ろ手に縛りあげた。苦
しい四つん這いの姿勢はそのままである。

「ふふふ・・・今宵もおまえの大好きな浣腸で、たっぷりこの、いやらしいけつの穴を
躾け直してやるからな!どうだ嬉しいか?雪乃!」

「あぁーーーっ、う、嬉しゅうございます!旦那様!」

(く〜〜っ!浣腸は堪忍して!いやぁ〜〜〜〜っ!)

剛蔵の残酷な浣腸責めは、雪乃にとって耐え難い恐怖と恥辱であった。この一月の間に、
どれ程泣かされてきた事だろう。それでも心の叫びとは裏腹に、絶対服従の媚態をとらね
ばならぬ惨めさを噛みしめながら今宵も尻を差し出すしか雪乃に道は無かった。

「くくくっ、今宵は、おまえの、いやらしい「けつの穴」にぴったりの特別な浣腸を用
意してきてやったぞ!これは獣医が使う馬用の浣腸だ!」

剛蔵が黒皮の鞄から取り出した物を、ちらりと見て雪乃は恐怖に目を見開いた。それは
浣腸器と言うよりは一升瓶を思わせる程の大きさであった。先端部は暴力的な太さであ
る。そして、その胴体部には、マジックインキで黒々と「雪乃用」と書かれていた。雪
乃の口から悲痛な絶叫が絞り出される。

「ひぃ〜〜〜〜〜っ!」

「おい!俺が、わざわざ雪乃の「けつの穴」の為に手に入れてやった物だぞ!黙ってな
いで礼ぐらい言ったらどうだ!」

「は、はい!雪乃の・・雪乃の為に、こ、このような素敵な物を御用意くださり、身に
余る幸せでございます。これで・・これで・・雪乃のけつの穴に、なお一層、磨きを掛
けて頂きとうございます!」

ここまで言って、堪えきれずに、さめざめと泣き出す雪乃。

「よし、よし、そんなに嬉しいか?だったら、何時ものように「けつの穴」を使って、
いやらしく浣腸の催促をするんだ!」

豊満な尻たぶの狭間に息づく雪乃の肛門を、剛蔵はにやにやと残忍な笑みを浮かべて眺
めている。強烈な屈辱に美貌を歪め、涙を流しながら雪乃は肛門筋に力を込めるのだっ
た。

(あぁーーっ、こんな、こんな・・人間のする事じゃないわぁ〜っ!)

「ふふふ・・、まるで餌を欲しがる鯉の口みたいに、「けつの穴」がぱくぱく動いてい
るぞ!よくこれだけ、恥知らずな「けつの穴」になれたもんだ!」

「くくっ〜〜〜〜っ!」

全身の血が逆流するような屈辱に打ち震えながら、剛蔵の嘲弄に耐えるしかない雪乃。

「さぁ、お望み通り、今喰わせてやるからな!たっぷりと味わうがいい!」

剛蔵は、直径5〜6センチもあろうかと思われる嘴管を雪乃の肛門に、じわじわと嬲り
楽しむように押し入れてゆく。

「ひ〜〜〜っ!痛い、痛いわぁーーっ!お許し・・お許しを・・旦那様〜っ!」

馬用の浣腸器で責められる恐怖と激痛で、雪乃は我を忘れて泣き狂う。

「くくくっ・・どうだ?妹の身代わりになった事を少しは後悔したか?」

なおも容赦なく、ずぶずぶと嘴管の根元まで強引に押し込んでいく剛蔵。雪乃の肛門
は痛々しいまでに押し広げられ、そこからまるで軋み泣く声が聞こえるかに思われた。

(ひぃーーーっ!)

ほつれ毛を噛みしめながら叫びたくなるのを必死に堪えている雪乃。それでも、剛蔵の
玩弄に合わせて細腰を折れんばかりに、うねり狂わせながら残忍な責めを受け入れてゆ
く。

(あぁーーっ、千鶴・・あなたには、こんな思いは絶対させない・・・)

今の雪乃には千鶴を守る思いだけが、この地獄を耐える力だった。そんな雪乃の耳に非
情な剛蔵の嘲笑が突き刺さる。

「こんな馬の浣腸まで喰わえ込める、恥知らずな「けつの穴」を千鶴にも見せてやりた
いものだな!えっ?雪乃!」

(うぅーーっ、鬼、鬼だわぁ!)

おぞましい肛虐地獄の中で、剛蔵の残酷さを、改めて思い知らされた雪乃だった。

「ふふふ・・・本当に泣くのはこれからだぞ!」

雪乃の直腸に、大量の浣腸液が情け無用に注ぎ込まれる。その、おぞましい感触に堪
らず悲鳴を漏らす雪乃。

「ひぃ〜〜〜っ!」

雪乃の仰け反った細い背中が苦しげに波打ち、雪のように白い量感たっぷりの双臀が、
辛そうにゆさゆさとうねり舞う様を満足げに眺めながら剛蔵は最後の一滴まで容赦な
く注ぎ込む。雪乃の直腸は、おぞましい液体で満たされ、その下腹は、まるで妊婦の
ように膨らんでいた。大きく開かれたままの雪乃の口からは今や、はぁ、はぁ、と苦
しい息遣いが聞こえるだけである。

「どうだ!馬の浣腸の味は?さぁ、これから抜き取るから一滴もこぼさぬよう、けつ
の穴を食いしばれよ!」

ゆっくりと雪乃の肛門から嘴管が引き抜かれていく。

「あぅうーーっ!」

引き抜かれる感触が更におぞましかった。一滴もこぼすなとの剛蔵の命に従わねばな
らぬ雪乃の、ねっとりと濡れ光る肛門の襞が必死に嘴管を締め付ける。まるで巨大な
嘴管にすがりつくように喰い締め捲れ上がる雪乃の肛門が痛々しくも凄艶であった。

「ふふっ、さすがは山吹屋若女将の「けつの穴」だな!これだけ立派な「けつの穴」
なら何処に出しても恥ずかしくないぞ!」

けなげにも此処まで必死に耐え抜いた雪乃を、意地悪く嘲笑する剛蔵。

(くぅーーーっ!)

己の惨めさが恨めしい程に雪乃の胸を締め付ける。一方剛蔵は、浣腸道具を元の黒鞄
に収めると、よいしょと立ち上がった。

「俺はこれから30分ばかり、席を外す。その間ずっとその格好で待っていろ。まさ
か山吹屋の女将ともあろう者が人様の座敷で粗相などするまいが、万が一、一滴でも
漏らしていたら、俺の妾は失格だと思え!その時は千鶴と交代だ!いいな?」

襖を閉めながら、そう言い捨てると剛蔵は座敷を後にして母屋へと去っていった。剛
蔵の下駄の玉砂利を踏む音が次第に遠のいてゆく。秋の夜空に心細げに浮かぶ三日月
を、たなびく群雲が今、ゆっくり覆い隠そうとしていた。




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第二章 三日月の夜