第21章 女調教師誕生
同じ頃、めぐみは、屋内の狭い3畳の和室に繋がれていた。 冷たい打ちっ放しのコンクリの床の地下の牢とは異なって、汚れてすり切れてはいたものの、畳の上での生活である。 天井に近い高い場所に、小さな小窓が付けられており、わずかな日の光が入ってくる。 しかし、あいかわらず首輪以外に一糸まとうことの許されないからだを、柱に繋がれている。 母と切り離されて、すでに2月は経っていた。理由は一切明かしてもらえなかった。
(もしかして、お、おかあさま、もう、もう、売られてしまったのでは・・・)
不安と恐怖で、めぐみは気が狂いそうだった。妊娠の事実を知らされたとき、めぐみは気が狂ったように一晩中泣き明かしたのだった。 足音がして、めぐみは、ハッとからだを硬くした。辛く恐ろしい牝のつとめの時間がきたのだ。 めぐみはちんちんポーズでお出迎えの姿勢をとる。 ガラッ、とドアを開けて入ってきたのは、銀次と政夫であった。
「お、おはようございますぅっ・・・・お、お出迎え、ありがとうございます・・・・お××こ牝のめぐみ、支度はできておりますぅっ・・・」
できるかぎり華やいだ、甘い声で挨拶するのが牝の心得である。しかし、ふだんは姿を見せない銀次が、政夫を引き連れてやってきたことに、めぐみは胸騒ぎを覚えた。
「へっへっへ・・・・さ、めぐみ、検査だ!」
「あ、はい・・・」
政夫の命令で、めぐみはすぐに、仰向けになると、下肢をくの字に折り曲げ、左右にひらく。
「ど、どうぞ、お、お調べくださいませ・・・」
政夫は、めぐみの華奢な足首をつかんで、股間を覗き込んでくる。いつもながらの辛いひとときである。毎日のことというものの、羞恥と怯えが消えることはなかった。性器検査のときも、甘えて、媚びを売るのが牝の心得だ。政夫の機嫌を損ねれば、信代に告げ口される。それが若い娘にとって死ぬほど怖ろしかった。 めぐみは、眼を閉ざし、唇をきつく引き結んで視姦に堪えた。 銀次は腕組みしたまま、無言で、政夫の背後に突っ立っている。 政夫は、剥き出しになっためぐみの無毛の白い腹を撫であげ、ねっとりと訊問を開始する。
「めぐみ、昨晩もまた、ここをこってりと苛め抜かれたんだろ?え。」
「は、はい・・・・」
「良かったかい?」
「は、はい・・・めぐみ、とっても、し、しあわせでしたっ・・・」
心にもない言葉で、媚びて見せる。
「昨日は、ここを何発姦(や)られたんだい?」
政夫は、めぐみの媚肉をなぞり、先週施されたばかりのラビアのピアスに取り付けられたリングに指をかけてひねくり回し、指を膣内に沈めて悪戯しながら、訊ねる。牝が少しでも言い淀んだり、ためらって口ごもったりすれば、容赦なくリングを引っ張り、女芯を引き裂こうとする構えだ。
「は、はい・・・10、10発ですぅっ・・・、」
性器を引き裂かれる恐怖に怯えながら、若い娘は、血の吐くような声で応えるのだった。
「じゃ、ここじゃ何発だい?」
「は・・・・い・・・け、けつの穴では、8、8発、あ、あそんでいただきました・・・」
めぐみの頬は早くも紅潮し、からだが熱くなってきた。乳首もしこっってくる。
「どこで、姦られたんだい?」
「そ、それは・・・・お、お座敷と・・・お庭と・・・・ロビーですぅ・・・・お、お風呂場でのご奉仕のときと・・・・あ、あと、ご、ご不浄でも、め、めぐみ、は、はめられちゃったのぅっ・・・」
「おうおう、もう感じちゃってるのかよー。おめえときたら、まったく、底なしのどすけべ牝じゃねーか。え、おい」
めぐみは泣き出した。
「ひどいわ、ひどいわ・・・・め、牝に火をつけておいて、そんな意地悪、言っちゃ嫌ようっ・・・」
「おいおい、政夫よぅ、もうそこらへんで勘弁してやんな。時間があまりねえんだ。今日は大事な話があって来てるんじゃねえか。」
銀次が口をはさむ。
「これは、兄貴、申しわけありません・・・へへへ、・・・・」
政夫は頭をペコペコ頭を下げる。 銀次はしゃくりあげている娘のほっそりした肩を抱き寄せた。 めぐみはおどおどと、恐ろしいスキンヘッズの巨漢にからだをあずけていく。
「な、めぐみ、おめえに話があるんだ。」
娘が泣きやむのを待って、おもむろに銀次は口をひらいた。
「お袋さんに遭いたくないかい?」
めぐみは、ハッとして男の顔をみあげる。
「ハハハハ・・・・ナーニ驚いた顔してるんだ。安心しな。千絵はどこにも行ってねえぜ。」
「あ、兄貴・・・・」
「お前は黙ってろ!」
銀次が凄むと、政夫はビクッと身をすくめて沈黙した。スキンヘッズで蛇のように眼の細い銀次は、乾分の政夫でも恐ろしい存在なのだ。
「え、どうなんだい?めぐみ、こととしだいによっちゃ、千絵に遭わせてやってもいいんだぜ。むろん、信代姐さんに内緒というわけにはいかんけどな。」
「ぎ、銀次さまっ・・・・」
娘はせっぱ詰まった声を出した。
「お、お願いしますっ・・・うぅっ、お願いしますぅっ・・・・銀次さまぁっ、おねがいっ・・・おかあさまに遭わせて・・・」
「うむうむ、お袋思いのおめえがそんなに言うのなら、考えてやんねーこたーねーんだぜ、」
千絵は、おどおどと銀次の顔を見つめる。どんな無理難題でも受け入れる気持ちであった。
「そうさな、どーするかなー」
「ど、どんなことでも、し、します・・・お、おねがいっ、お願いですっ・・・・」
「そいじゃ、ひとつ骨折って信代姐さんを説得してみっかな、ただし・・・」
「ただし?・・・・」
めぐみは、銀次の次の言葉を待った。 銀次はなかなか口を開かない。
「実はな、めぐみ。お前もうすうす気づいているかもしれねえが、千絵の奴、なかなか孕まなくってな。俺たちも困ってるんだよ。」
「・・・・・・・」
「信代姐さんも、ああいうお人だからな、千絵を売り飛ばしたくって、ウズウズしててなぁ・・・」
めぐみはブルブル震えながら聞いている。
「だが、俺としてはおめえら母娘を離ればなれで、競売市場に出すには忍びねえんだ。分かるだろ?」
めぐみはガクガク頷くばかりだ。
「そこでだ・・・」
銀次は言葉を切った。
「ここは、ひとつ、お前が責任をもって千絵を孕ませたらどうかと思うんだよ。」
めぐみは意味が分からず、黙って恐ろしい男の顔をみつめるばかりだ。
「わからねえかい?めぐみ。お前は、千絵より先に孕んだんだ。ってことはだな。お前が先輩牝ってことじゃねえか。な、そうだろ?後輩を指導して、ちゃんと芸ができるよう仕込むのは、先輩牝のつとめってもんだぜ。」
「へへへ、めぐみ。要するにだ。おめえが千絵の調教係として、妊娠の手練手管をしっかり仕込んでみろってことだよ。」
政夫が横から口をはさむ。 めぐみはひーっ、と泣いた。あまりといえばあまりのことだ。
「そ、そんなっ、む、無理よ、無理ですっ・・・あぁっ、そ、そんなこと、で、できるわけないわっ・・・」
「おや?できないってーのかい?そりゃ残念だなー。それじゃー、千絵の売却はそれで決まりだな。さぞや信代姐さんは大喜びだろうぜ。」
「まあまあ、政夫よぅ、そうやんややんやとお嬢さんを責めちゃいけねえな。」
銀次は政夫をたしなめる。
「そうだな。めぐみ。急のことだから、おめえだって、心の準備はできてねえだろうさ。考える時間をやるからな。午後まで考えて、返事すりゃいいぜ。え、経験不足だなんて、心配なんかいらねえぜ。牝の調教の仕方は信代姐さんがよろこんで教えてくださるからな。」
午後、再び鬼たちがめぐみの部屋に姿を現したとき、、めぐみはうちしおれていた。 眼は真っ赤に泣き腫らしていた。
「どうでー、めぐみ、決心ついたかい?」
政夫が、口をひらいた。
「ぎ、銀次さまっ、政夫さまっ・・・・わ、分かりました・・・・めぐみ、や、やります・・・か、かならず、お、お母さまを、に、妊娠させて、ご、ごらんにい、いれますっ・・・そ、その代わり、、ど、どうかっ、どうかっ、お、おかあさまを売らないでっ、うぅっ、売らないでっ・・・お、おねがいですぅっ・・・」
めぐみは泣きさけびながら、二人の足にすがった。
「そうかい、そうかい、よく言ったぜ。それじゃ、これからお前は千絵の調教師になるってんだな。」
「は、はい・・・・」
「ようし分かったぜ。ただな、めぐみ、これからは、お前と千絵は身分が違うんだ。今までみたいに、『おかあさま』なんて、甘ったれた言葉遣いは許さねーぜ。いいか、『千絵!』と呼び捨てにするんだ。それから、少しでも千絵が不服だったり、文句を言えば、仕置きするのはおめえだぜ。」
「は、はい・・・」
「それじゃ、調教師に相応しい台詞で誓ってみな、いいか、こんなふうに言うんだ。 『これから、めぐみは千絵の妊娠調教師として、千絵がガキを孕むよう、しっかり躾けてごらんに入れます。千絵が無事孕みますよう、、めぐみは精一杯頑張ります。どうぞ、ご指導をよろしくお願いいたします』てな。」
若い娘はひっ、と息を呑んだ。しかし、強いられて泣く泣く卑猥な台詞を口にしなければならなかった。
「こ、これから、・・・め、めぐみは・・・・めぐみは・・・・ち、千絵の、千絵の、に、妊娠調教師として・・・・千絵が、ガ、・・・・ガキを、は、・・・孕むよう、し、しっかり、し、躾けて・・・御、ご覧に、・・・・い、入れます・・・千絵が、は、孕みますよう・・・めぐみは、、せ、精一杯、が、がんばりますっ・・・・」
かすれた声で、声も切れ切れに、娘は血を吐くような思いで、言った。
「ようし、それを信代姐さんの前で、きちんと言えるな?」
「は、はい・・・」
「いいか、めぐみ!千絵へのおめえの調教ぶりは、しっかり監視してるからな。厳しく躾けるんだ。情け無用だぞ。ちょっとでも手加減なんぞしやがったら、ただちに千絵は肉市場行きだ。分かったな!」
嵐のような境遇が自分を待ち受けている。これからは鬼となり、悪鬼となって実の母親を調教しなければならないのだ。それが、救われる唯一の路であると、めぐみは自分に幾度も言い聞かせるのであった。
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