序章


日本とは海を挟んで極東アジアに位置するK人民共和国。その忠源北道と呼ばれる荒れ地で覆われた一画に、見る者を陰鬱な威圧感で圧倒する鼠色にくすんだ建物の群れが並んでいる。周囲を高い鉄条網で厳重に囲まれた、この建物こそ「第7特別収容所」通称「牝鶏小屋」である。

奴隷民族と化した日本人を、どの国よりも積極的に家畜化しているのがK人民共和国であった。百カ所を超える日本人収容所では、この国の将軍様と人民の為の家畜として、日本人は牛馬の如く凄絶な肉体労働に仕えさせられているのだ。

「第七特別収容所」は日本人種繁殖試験場のひとつとして通常の人畜繁殖を行う一方、将軍様直々に特別の重要任務が与えられていた。その任務とは外貨獲得の為に、最も高値で取引される日本人少女を効率的に生産し売り捌く体制を確立することであった。その為、他の収容所と違い、ここの所員は皆かつての日本に留学した経験も持つ生え抜きのエリート女性だけで構成されているのだ。

日本人奴隷が辿る最悪のコースがK人民共和国であった。なかでも女にとって「第七特別収容所」こそ、残酷なるこの世の生き地獄なのである。





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