「それでは、お母さんの方は一足先に、これからご案内する部屋で登録証用の写真を撮影してください。娘さんの方は初めてと言うことですので、まず検査を受けて頂き、それから写真撮影となります。」

昨日までとは一転して妙に他人行儀な職場仲間に好奇の視線を浴びせられながら、由美子は一人残された娘の智恵を気遣いつつ、受付カウンターを後にする。智恵は俯いたまま静かに目を閉じて座っていた。母にすべてを聞かされた智恵は、母の辛い気持ちを痛いほど理解していたのだ。そして母と共に娼婦となる覚悟をしたのであった。
智恵が職員に案内された部屋には4〜5台の事務机が不規則に並べられ、壁際にはファイルの詰った棚やキャビネットが並んでいる。6人ほどの職員が、それぞれ書類相手に仕事をしていた。そんな中で智恵は全裸になって検査を受けるのである。体中を探るように撫で回され、初々しい恥部や肛門までチェックされるのだ。その狂おしい羞恥に、歯を食いしばって耐えている智恵の姿を、周りの職員たちが時折仕事の手を休めては、面白そうに見物している。

(あぁ・・お母さん・・私、死にたい・・)

娼婦となることが、これほどの惨めさに耐えねばならぬ事かと思い知らされた智恵は、優しい母の顔を思い浮かべながら必死に泣き出しそうになるのを堪えていた。


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娼婦登録