私どもの活動する舞台とも言えますブラックマーケットの世界でも、年々高まる日本人種売買の需要に対して、けっして何の対策も行って無い訳ではございませんのよ。もっと効率よく日本人種を調達する方法は無いものかと、長年に渡り各方面の闇組織と様々な会合を続けておりましたの。そして数年前にひとつのプロジェクトが試験的に立ち上がり、現在ではそれが徐々に軌道に乗り始めたのでございます。それが日本人種繁殖センターですの。そこでは繁殖に適した肉体と良質の血統を持つ日本人種のメス豚とオス豚のみを厳選し、徹底された管理の元、日々新たなるメス豚オス豚を産み出しているのですわ。

中国人の女性スタッフにより、狭い檻から一匹づつオス豚が引き出されて搾取台に追い上げられる。ここではメス豚を孕ます為の種付け用精液が採集されているのだ。日本から連れて来られた、50匹近いオス豚が入れられた小型の檻が広い倉庫のようなフロア一杯に所狭しと積み重ねられている。毎日一回、スタッフの手で精液を搾り取られる為だけに飼われているのである。

女性スタッフが慣れた手つきで、オス豚のペニスを扱きあげる。やがて四つん這いになったオス豚の鼻息が荒くなり尻肉が耐えきれぬように、ひくひくと痙攣する。

「そろそろ出そうね、さぁ、汚らしい日本人の種つけ汁を、豚らしく鳴きながらたっぷりと、バケツの中にぶちまけなさい!」

その言葉と同時に、家畜のような呻き声と共に、オス豚のどくどくと脈打つペニスから熱い精液がほとばしった。女性スタッフの白い指で最後の一滴まで搾り取られる。

「さぁ、次のオス豚をお願い!」

事務的に次々精液を搾り取られていくオス豚たち。すでにバケツの中には生臭い白濁の液体が、揺らすとちゃぷちゃぷ音を立てるくらい溜まっているのだった。

オス豚から搾り取られたばかりの、まだ生暖かい精液がバケツのまま種付け室に運び込まれる。すでに種付け台には一匹のメス豚が股を開いて、いつでも種付けが出来る体勢をとっているのだ。種付け台の傍らには、今日最初の種付けグループに選ばれた残り9匹のメス豚が並ばされていた。

「このメス豚は、これまで2匹産んでるのね。今季はこれで6度目の種付けだから、そろそろ3匹目を孕んでも良い頃だわ。」

繁殖センター専属の女医は、カルテを見てそう呟きながら、バケツに入ったオス豚50匹分の精液を杓子で掻き混ぜた。精液独特の匂いが種付け室の中に、むっとするほど立ち込める。女医は汚らしいモノを見る目で顔をしかめながら、何度か精液を杓子で掬い上げては、どろりとバケツの中に注ぎ返す作業を繰り返すと、いよいよ種付け用の注入器に精液を充填する。

「さぁ、始めるわよ!今回はいつもより、たっぷりとぶちこんであげるから、しっかりと子種を宿すのよ!」

ちゅるちゅるとメス豚の子宮に大量の精液が注ぎ込まれた。おぞましい感触に、太股をぴくぴくと引き攣ったように震わせるメス豚の喉から、ひゅ〜っと悲鳴のような叫びが漏れる。注入器が抜き取られるやいなや、子宮に収まりきれない大量の精液が秘口から溢れ出し、どろどろと肛門から白い太股へと伝いおちてゆくのだった。

この、おぞましい場所に連れてこられて、どれほど時が流れたのだろう。繁殖用牝豚として、種付けと出産の果てしない繰り返しだけが、延々と続くのだ。繁殖センターの地下にある狭い牢屋のような一間だけが、この哀れなメス豚たちの世界のすべてなのである。魂の奥底から絞り出される絶望の叫びも、けして何処にも届く事はないのだ。





                      次ページへ





繁殖の章