スケッチ集「奴隷民族への道」

エピソード1 隷属への一歩

ついに国際占領軍が日本の全地域支配へ向けて活動を開始した。各地で占領軍による日本女性のレイプ事件が頻発する。いたいけな少女であっても情け容赦はなかった。町々では幼い娘を守るために、母親たちが獣欲を剥きだした男らに、泣く泣く自ら肉体を差し出す光景が溢れていた。占領本部はこの状況に一切関知しなかった。兵士達の性欲処理として日本女性を犯す事は、なんら問題はないというのが彼らの見解だったのだ。

やがて国際会議で日本民族管理機関(JRC)の設置が発表され、日本支配の全業務が占領軍からJRCへ移行されるとのニュースは、日本人を安堵させた。少なくとも状況は改善される方向へ進むだろうと安易に誰もが考えていた。来日したJRCの事務総長の姿を見た時、それは確信となりさえしたのだ。その頃、日本人の誰一人として奴隷民族への道を歩むことになろうとは想像すらしていなかったのである。

事務総長に就任したムハマドは、穏和で理性溢れる人柄として各国から信頼される人物である。秘書モニカと初めて日本の地を踏んだムハマドを、占領軍最高責任者であるジェーンが出迎えた。

「初期段階の準備は、すべて完了しました。後はお任せ致しますわ」

ジェーンはムハマドと堅い握手を交わしながら微笑んだ。