美也子が捕まったという知らせを聞いて組長の黒坂は満足そうに煙草に火を点けた。一緒に報告を聞いていた夫人の凉子も冷たい笑みを浮かべる。

「ふふふ・・・これまでうちの組に逆らってきた償いを、たっぷり味あわせてやるわ。」

「これで海堂組も二度と立ち上がる心配は無くなるって訳だ!美也子の事はオマエに任せるからな、どうでも好きなように料理しな!」

凉子は甘えるように黒坂の首っ玉にすがりついて、キスをおねだりした。黒坂の唇と凉子の唇が重なり合う。それはやがて、ねちっこく舌が絡み合う激しいディープキスとなっていった。

 


海堂組の3代目組長、海堂竜介が対立する組織の黒坂組による凶弾に倒れて、一年が過ぎようとしていた。竜介の死後、その跡を継いで妻である美也子が4代目女組長となって組を仕切っていた。夫の敵討ちを心に決めた美也子によって、その間に企てられた海堂組の報復もことごとく失敗に終わり、遂に組は解散に追い込まれたのだった。そして抗争中に子分達の計らいで安全な場所に逃亡した組長の美也子と、その娘の智子であったが、必要に追ってくる黒坂組の魔手に遂に捕らえられる時が来たのであった。それは黒坂組にとって、海堂組を完全に根絶やしに出来る喜びの時でもあったのである。そして黒坂らは、美也子を惨めな牝地獄に堕とす事で、長年の溜飲をさげてやろうと美也子が捕らえられる日を、今か今かと待ち侘びていたのだ。


街外れに薄汚れた倉庫の立ち並ぶ一画が在った。今、その内の一棟の倉庫の前に黒塗りの車がゆっくりと滑り込んできた。すぐさま若い衆が駆け寄りドアを開く。車から降りてきたのは凉子であった。見るからに高級ブランド品と分かる華やかな装いの凉子からは冷たい美貌と相まって組長夫人としての貫禄が漲っている。

「姐さん、お待ちしておりました!」

凉子を出迎えたのは、組の中でも凉子が特に目をかけてやっている修次だった。その側には4〜5人の弟分達が神妙な面持ちで一列に並んで凉子に向かって深々と御辞儀をしている。

「御苦労様、今回は本当に良くやってくれたねぇ、組長も大層お喜びよ!あんた達には相当の褒美をさせてもらうからね!」

そう言って凉子は満足そうに微笑んで見せた。姐御として慕っている凉子に誉められて修次の顔も嬉しさに紅潮している。

「じゃ、早速、獲物を見せて貰おうかしら?」

凉子に促されて修次は先に立って倉庫の鉄扉へと案内した。広い倉庫内には壊れた機械やドラム缶等が雑然と放置されたままになっている。カビ臭さとオイルの匂いの入り混じった中を、奥へ向かって進んでいくと、そこに海堂組4代目女組長、海堂美也子の無惨な姿があった。

美也子は身ぐるみ剥がれた素っ裸で、天井の梁から伸びるロープに両手両足を一括りにされた獣縛りで吊されていた。それは当に捕らえられた獣そのものであった。三十半ばの若さで海堂組を取り仕切り、「弁天の美也」の異名を取って黒坂組の手を散々持て余させてきた女の姿とは思えない無様な姿を晒しながら美也子は今、しっかりと目を閉じて舌を噛みきって死にたい程の屈辱に耐えていた。背中に彫られた弁天様が、これからの地獄を予期して泣いているかのように見える。

「おほほ・・・弁天の美也子姐さんも、こうなっちゃ形無しね!」

凉子の声に、ハッと目を開いた美也子は、憎しみを湛えた目で凉子を睨みつけた。

「あ、あんたは、黒坂の女房の凉子だね!私は覚悟を決めてるのよ!さっさと殺すがいいわ!」

ほつれた黒髪を振り乱しながら叫ぶ美也子の美しい顔からはゾッとする程の凄惨な鬼気が漂っている。

「あ〜ら、そんなに簡単に殺して貰えると思ってたの?オマエにはこれから、たっぷり、これまでの落とし前つけて貰うからね!それに黒坂にだって、きっちりと侘びを入れさせてやるよ!」

凉子の目が嗜虐の喜びに輝く。

「だ、誰がお前達に侘びなど入れるもんですか!さぁ、早く一思いに殺しなさいな!」

美也子は挑発するように凉子の顔に唾を吐きかけた。

「ほほほ・・・無様な格好を晒しときながら、よく言うわね!」

凉子が吊された美也子の尻たぶを掴んで左右に押し開く。

「うぅぅ・・、ば、馬鹿な事は止めて!」

凉子の突然の玩弄に思わず狼狽の悲鳴をあげる美也子。

「ほ〜ら、これが4代目女組長、海堂美也子の、けつの穴だよ!みんなじっくりと拝ませて貰いな!」

次々と覗き込む、修次や若い衆の嘲り笑いが湧き上がる。

「これが、あの弁天の美也子姐さんの、けつの穴だとよ!さすがに貫禄のあるけつの穴じゃねぇか!」

「うぅぅっ!」

強烈な悔しさと屈辱に美也子が呻いた。

「どうだい?自分の立場が少しは分かったかい? これから生意気な口を利くんじゃないよ!オマエにはこれから黒坂組の専属牝芸人として死ぬまで生き恥晒して、これまでのお詫びをして貰うからね!それから黒花館の名は聞いた事があるでしょう?オマエを、そこで最下等の淫穴娼婦として雇ってあげるわ! 最下等の淫穴娼婦は、けつ穴専門の娼婦よ!このお上品なけつの穴に毎日毎日、何十本って言う男のいちもつを喰わえさせてやるわよ!どう嬉しいでしょう?」

凉子はそう言うと高らかに笑い声をあげる。余りにも残酷な凉子の言葉に美也子は気が遠くなった。4代目女組長、海堂美也子を惨めな牝芸人として慰み者にするばかりでなく、事もあろうに黒花館の淫穴娼婦に堕とそうと言うのだ。黒花館の恐ろしさは美也子も聞き及んでいた。黒花館は黒坂組が、ありとあらゆる卑劣な手段で手に入れた女達が、犬猫以下の扱いで厳しいノルマを与えられ連日連夜、客を取らせられる、当に女の生き地獄なのである。

「そ、そんな事、誰がするもんですか、あんた達が殺さないって言うなら舌を噛みきって自分で死ぬわ!」

もの凄い形相で美也子は凉子を睨み付けた。

「ふん、そうかい!それ程言うんなら、舌でも何でも噛み切って死ぬがいいさ!その代わり、オマエの替わりを娘の智子が勤める事になるんだよ!あんな可愛いお嬢ちゃんが尻の穴で、客を取らされるなんて可哀想よねぇ?おほほほ・・・」

凉子の毒のある笑い声に美也子の体は鳥肌を立てて震えた。

「な、なんですって!と、智子はまだ中学生なのよ!それに私達の因縁とは何の関係も無いわぁ〜! お願い!あの子には手を出さないでっ!助けてあげてぇ〜!」

娘を思う気持ちで我を忘れて叫ぶ美也子。

「ほほほ・・・娘の名を出した途端に随分しおらしくなったじゃないの?娘が地獄に堕ちるか、どうかはオマエ次第だよ! 黒坂の前で詫びを入れて淫穴娼婦として償いを果たすか、ここで舌噛み切って娘を替わりに地獄に堕とすか、さぁ!性根を据えて返事しな!」
ねっとりとした口調から一変して凉子が厳しい声で怒鳴りつける。

「うぅぅっ!分かったわ!私が、私が地獄に堕ちるわぁ〜!あぁ〜悔しい〜!」

美也子はぼろぼろと涙を零しながら遂に屈服の言葉を吐いて号泣した。

「ほほほ・・・やっと、その気になって頂けて嬉しいわ!弁天の美也子姐さん!黒坂への侘び入れは明後日にも、やって貰うからね!覚悟を決めとくんだよ!」」

凉子の言葉にに美也子は死ぬ思いで、こくりと頷づくのだった。

「お前達、美也子を降ろしてやりな!」

若い者に美也子を任せると凉子は修次を伴って倉庫の鉄扉を再び潜って外に出た。

「修次、後は打ち合わせ通りに頼んだよ!」

そう言って車に乗り込む凉子。

「へい、姐さん任せてください。万事うまくやっときますよ!ところで姐さん娘の方は、どうします?」

車のドアを閉めながら修次は尋ねた。

「うふふ・・そうね、今回の御褒美のひとつとして、お前達に、あの娘の処女をくれてやるわ!思う存分輪姦しておやり!その後は私に良い考えがあるのよ!」

修次が思わずぞっとする程、妖艶な微笑みを残して凉子の乗った車はゆっくりと走り出した。




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極妻 啜り泣く淫穴

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