牝犬飼育場に静かな夜が訪れた。美津子は、あれからも様々な牝犬達の恥態を、否応なく見せつけれた後、今は飼育場内部の小部屋に監禁されていた。部屋の中には質素ながらベッドも備え付けられており、美津子は連れてこられた時の衣服のまま、その上に身動きもせず、まるで人形のように横たわっていた。想像を超えた今日一日の悪夢の様な出来事に思考が追いつかず放心状態なのである。
遙か彼方から山犬の遠吠えが聞こえてくる。その声は美津子の魂を震えさせた。

・・・牝を求めるオス犬達の呼び声・・・ 

美津子にはそんな風に思えてならない。牝犬に堕とされた女達の恥態が鮮やかに脳裏によみがえる。丸裸のまま四つん這いで追い立てられる女達、そして屈辱の排便作法、もう彼女達には人間としての尊厳は、ひとかけらも残されてはいなかった。罵倒され鞭打たれながらも大股開きの浅ましいチンチンポーズで、飼い主に精一杯媚びを売る女達の性器は一様に淫らな汁で濡れ光っていた。
そして、そんな浅ましい牝犬達の惨めな姿を思い起こすうちに、いつしか股間を濡らしている自分自身に気が付いた時、美津子の心は激しく乱れた。

(あぁー、私、どうかしてるんだわ。こんなことで・・・)

必死に自分を否定しようとする美津子の耳に、またも山犬の遠吠えが聞こえてくる。思わず耳を塞ぎながらも湧きあがる妄想を、もう押さえることが出来なかった。

妄想の中で女達は木々の生い茂る森の中に震えながら丸裸の四つん這いで横一列に並んでいた。そして、その周りを一匹のオス犬が牙を剥いて威嚇するように低い唸り声をあげながらグルグル歩き回っていた。やがて牝の臭いを嗅ぎつけた仲間のオス犬達が次々と茂みの中から姿を現す。女達がこの獰猛なオス犬達から助かる方法は一つしかなかった。自らが牝となってその肉体を捧げるのだ。
女達は両肘をついて背中を弓なりにし、オスを迎え入れる為に一層高く腰を掲げて真っ白な双臀を差し出した。一斉にオス犬達が女達に群がり差し出された股間に鼻をつけてクンクンと性器と肛門の臭いを嗅ぎ廻る。恐怖に震えながらも女達はオス犬達に気に入って頂こうと必死に尻を振って媚びを売る。
オス犬達の舌がベロベロと性器から肛門まで舐め回す。激しいオス犬の息づかいと女達の小さく切ない喘ぎ声が混じり合う。そして女達の体より大きい一匹のオス犬が、気に入った牝の尻に乗りかかると猛り狂うペニスを乱暴に牝の性器にぶち込み情け容赦なく腰を突き動かした。獣に犯される恐怖と汚辱に悲鳴をあげながらも、オス犬に満足して頂けるよう必死になって尻を振りながらオスの動きに答える。残りの女達の尻にも一斉に我勝ちにとオス犬達が覆いかぶさっていく。真っ白な尻を抱えて荒々しく腰を動かす茶色い獣達の群。女達のか弱げな細腰が折れんばかりに突き動かされる。牝の体内に精液をたっぷり注ぎ込んで尻を離すと、すぐさま別のオス犬が飛びかかって尻を抱く。やがて少しずつ恐怖心は消え失せ牝そのものとなった女達は激しく尻をうち振りながら歓喜の鳴き声をあげていた。最後の一匹が犯し終わると、オス犬達は自分らの所有物として認めた証に牝の体中を丁寧に舐め回すと何処ともなく去っていった。そして残された女達の尻から性器にいたるまでオス犬の放った大量の精液が濡れ光り異臭を放ちながら太股を伝って地面にまで、とろりと滴り落ちる。そして・・・・・

こんな果てしない妄想にひたっている美津子だったがドアの鍵を開ける音に、はっと我に返った。
ドアを開けて部屋に入ってきたのは黒田である。美津子は身を固くしてじっと黒田を見つめている。黒田はちらりと美津子を見やると傍らのテーブルに持ってきたトレーを置いた。
トレーの上には夕食が湯気を立てている。

「腹が空いたろう?俺の手料理で口にあわんかもしれんが食べるといい。」

これまでとは違った優しい口調で黒田が言った。

「それから、今夜は部屋の鍵は開けとくからな、トイレはココを出て右側だ。念のために言っとくが、絶対にこの建物の外には出られないから逃げ出そうと思っても無駄だよ。」

そう言い残すと黒田は部屋を出ていった。美津子は黒田の意外な優しさにとまどいながら閉じられたドアをしばらくの間ぼんやりと見つめている。一方ドアを閉じた黒田は心の中で、つぶやいていた。

(ふふふ・・・、人間扱いされるのも今夜限りだぜ。明日からは牝犬としての飼育が始まるからな!人間最後の夜を牝犬にされる恐怖に怯えながらじっくり過ごすんだな、美津子!)

人里離れた牝犬飼育場を深い闇が包んでいた。


フロアスタンドの淡い光がソファに座った黒田の影を壁に映し出している。ここは飼育場内でも唯一、人の住みかを感じさせる黒田の居室である。シックなデザインの落ち着いた調度に囲まれ、どこか外国の城の一部屋を彷彿させる佇まいであった。
黒田は着ているガウンの前をはだけて、どっかりとソファに腰掛けている。ガウンの下は何も身につけていない。そして大きく拡げて放り出した両足の間には一心不乱に、黒田の逞しくそそり立ったペニスに口唇奉仕する牝犬の姿があった。牝犬達の中では一番、年下の19歳の由美子である。
裏筋を丁寧に舐めあげる由美子の柔らかい舌先を感じながら、黒田は壁に飾られた何枚もの額入りの写真を満足そうに眺めている。それは、これまでに黒田が飼育してきた牝犬達を撮したもので、いずれ劣らぬ美形の牝犬達が様々な淫猥なポーズをカメラに向かって晒していた。牝犬競売会に出品される日を迎えて、不安と恐怖に顔を引きつらせながらチンチンポーズでお別れの挨拶をさせられる牝犬、新しい飼い主への服従の誓いに、買いとられたその場でペニスに口づけさせられている牝犬が投げかける涙に滲んだ眼差し、これまでに飼育してきた何十匹という牝犬達が額に入れられて黒田の部屋を飾っているのだ。どの牝犬の名前も性格も黒田は一匹として忘れることはなかった。
由美子の舌先が玉袋へと移動し皺の一本一本までなぞるかのように這い回っている。唾液をたっぷり塗り付けてピチャピチャと音をたてるのも忘れない、浅ましく音を立ててしゃぶるのが牝犬のフェラチオだと、さんざん教え込まれてきたのである。
由美子の舌技の進歩に満足しながら、黒田は以前飼育を手がけた牝犬の飼い主から送られてきた一枚の写真を新しい額縁に納めていた。黒田の元で飼育される牝犬達にも色々な経緯がある。大きく分けると美津子のように黒田が目をつけた女を牝犬に堕とす場合と客から依頼されて牝犬を飼育調教する場合のふたつである。前者の場合は競売にかけて売り払うのが目的であり、後者は調教後、依頼者の元に送致して報酬金を受け取るのである。そして時には、そのどちらとも言える場合もある。それが今、黒田の股間に美貌を埋めて口唇奉仕している由美子であった。元々はある女性に依頼されて由美子の母親を牝犬飼育する事になったのだが母親を拉致する準備段階で、不運にも黒田の目に止まったのが娘の由美子だったのである。

母親の名は由梨恵と言った。年齢は40歳である。娘同様の美貌の持ち主で男なら誰でもふるいつきたくなるムチムチとした肉体からは熟女としての色気が匂い立っていた。
牝犬競売の世界では40を超えた牝犬は入札価格も急激に落ち込むのが通例であった。売る側から見れば儲けも少ないのだが、買い手側からすると手頃な値段で買える牝犬と言うことで結構この年代の牝犬は人気がある。愛玩用よりは本来ペットとして飼っているオス犬が発情した時の性欲処理犬としての需要が高い。発情したオス犬の性欲の捌け口となり、おまけに本物の犬と違って子供を作る心配のない牝犬達は、愛犬家にとって重宝な存在なのだ。由梨恵の場合は、40歳と言っても競売にだせば相当高い値がつけられるだろうと黒田は考えていた。飼い主に恵まれればオス犬用の性欲処理犬にさせられることもなくペットとして可愛がって貰えたはずである。だが由梨恵の辿る運命は地獄へと定められていたのだ。

調教依頼をしたのは由梨恵と同年代の典子と言う名の女性だった。由梨恵とはかつて同じ某大手企業で働いていて、どちらも容姿と才能に恵まれ自他共に認めるライバル同士といった間柄であった。そんな二人がこともあろうに同じ一人の男性を愛してしまったのだ。そして激しい争いの末その男性を勝ち取ったのが由梨恵と言う訳である。典子は絶望の余り自殺まで計る。結局命は取り留めたものの由梨恵の居る職場に戻る気にもなれず泣く泣く退社したのだった。そしてその時の由梨恵の勝ち誇った眼差しを典子は生涯忘れる事ができなくなったのである。その後の典子の人生は苦渋に満ちたものだった。一度は新たな男性と巡り会い幸せな結婚を夢見たが、その夢も男の裏切りで無惨に崩れ去った。それでも本来の才能を生かし血の出るような苦労の末、小さいながらも自分の会社を設立し、運良く時流に乗る事が出来たお陰で、今では人も羨む豪邸に住めるまでになったのだった。だが過去の苦い経験から、すっかり男性不信に陥った典子は、この歳になるまで結婚する事もなく広い豪邸の中で一匹の愛犬に慰められながら一人寂しく暮らしていた。そしてどれほど月日が経っても由梨恵の勝ち誇った眼差しに見送られながら、職場を去って行ったあの日の屈辱だけは決して忘れる事は出来なかった。由梨恵の為に自分は結婚と言う女の幸せすら奪われてしまったのだと言う思いが日に日に募ってくる。

(私はこんなに寂しい人生を送っている。なのに由梨恵は家族に囲まれなんと幸せそのものの日々を送っている事か。)

いつしか典子の胸中には止めようもない由梨恵への恨みが燃え上がっていた。
そんなある日、ふとしたきっかけで牝犬商人の存在を知ったのが黒田との出逢いに繋がっていく。女を一人この世から抹消して牝犬に堕とすのであるから、当然黒田の要求する金額は半端なものではない。しかし、それも今の典子にとっては何の問題もなかったのである。
それから10日後、牝犬飼育場では浅ましい四つん這いの格好のまま大声で排便の許しを求めて泣き叫ぶ由梨恵の姿があった。


黒田の脳裏には、由梨恵の調教を完了して典子に引き渡した時に、始めてこれからの飼い主が誰であるか知った時の由梨恵の驚愕と恐怖の表情が今でも焼き付いている。
首輪に付けられた鎖を黒田に引かれて四つん這いで典子の前に引き出された由梨恵は典子の顔を見るなり、真っ青な顔を引き攣らせてガタガタ震えだした。

「ほら、これから飼ってくださる御主人様だ!ちゃんと御挨拶しないか!」

黒田に怒鳴りつけられて、かつてのライバルの前で屈辱のチンチンポーズをとりながら挨拶させられる由梨恵。そして典子は勝ち誇った笑みを浮かべながらハイヒールの爪先を由梨恵の前に差し出すと冷酷な口調で、こう言ったのだ。

「舐めなさい!」

屈辱の涙をぼろぼろ零しながらも、黒田の厳しい調教で身につけさせられた牝犬の哀しい習性で、由梨恵は差し出されたハイヒールを大きく舌先を伸ばしてベロベロ舐めまわす。

「うふふふ・・・おまえには牝犬ユリって名前を付けてあげるわ。これから、たっぷり可愛がってあげるわよ!」

そう言って甲高く笑い続ける典子を残して、黒田はその場を立ち去ったのだった。その数日後、由美子が拉致され母親の後を引き継ぐかのように牝犬への道を歩むことになったのである。


由美子の柔らかな舌先は黒田の肛門を優しくなぞっていた。つんと尖った鼻先を黒田の股間に甘えるように擦りつけながら、チュッチュッと音を立てて肛門に口づけする。
深閑と静まりかえった部屋の中に、由美子の舌と唇が立てる淫猥な音だけが響いていた。黒田は額縁の裏を留め金で固定すると、小刻みに揺れ動いている由美子の頭にそっと手をやった。それはフェラチオ止めの合図だった。由美子はさっと顔を上げると飼い主の顔を見上げて次の指示を待つ。

「由美子、お前に見せたい写真があるんだ。よく見てごらん!」

差し出された額縁を怪訝そうに覗き込んだ由美子は、そこに撮されたモノを見て思わず驚愕の声をあげて視線を逸らした。

「あぁーっ!こ、これは・・・・」

由美子の顔がみるみる真っ青になっていく。その写真には由美子にとって信じがたい恐ろしい光景が写し出されていた。それは牝犬にされた人間の女が四つん這いで肘を突きながら真っ白な双臀を高々と掲げ、そしてその量感たっぷりの双臀に覆い被さるように、一匹の巨大なシベリアンハスキーが抱きついて交尾している光景だったのである。

「ふふふ・・・この牝犬が誰だか分かるか?」

黒田に尋ねられて由美子は、恐る恐るもう一度額縁の写真を覗き込んだ。その瞬間、由美子の全身に心臓が止まるかと思えるくらいの強烈なショックが走った。その牝犬はまぎれもなく母親の由梨恵だった。

「いやーーっ!」

由美子は絶叫した。激しく取り乱す由美子の頬を黒田がバシッとビンタする。

「うろたえるんじゃない!いいか、飼い主の命令とあれば、こうして何時でもオス犬相手に尻を振るのが牝犬の勤めなんだよ!」

由美子はしゃくりあげて泣きながら、黒田の言葉に黙ってうなずくしかなかった。

(まぁ、由美子が動揺するのも無理はないな、それにしても由梨恵も残酷な飼い主を持ったもんだ。どんな地獄のような毎日を送ってる事やら・・・)

黒田にはオス犬とつがわされて泣き狂う由梨恵の姿を、ファインダー越しに見つめる典子の冷酷な微笑みが目に浮かぶようだった。


                        ーつづくー


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