奴隷民族 (女帝と料理番

3人の料理番
「今日は私の大好物、日本人の牝肉料理で、おまえ達の腕をふるっておくれ。特に今回は母娘の牝肉を使って今まで食べたことのない美味い料理を作ってもらいたいのじゃ。一番見事な牝肉料理を作った者には褒美をつかわすぞ!」

若き女帝の前には、3人の料理番が多勢の料理人の中から選ばれた栄誉を胸に抱きながらも、緊張した面持ちで立っている。

「今日のため特に吟味した素材を準備してある。皆、それぞれ工夫して新しい牝肉料理を作るのじゃ!」
           ☆一人目の料理番 (柔らかな娘肉を使った贅沢スープ)



耳をつんざくような鳴き声をあげながら、調理台の上で娘肉が足をばたつかせて必死に逃れようとしている。

「あらあら生きの良い牝肉だこと、さすがに吟味されただけございます。これだけの食材が使えるなんて、腕のふるい甲斐がございますわ」

料理番は暴れる娘肉を押さえつけると、その細首に向けて一気に肉切り包丁を振り下ろした。
「母肉の方で、これから出汁を取るのでございます。」

ぐらぐらと煮え立つ大鍋の上に、母肉が吊されている。

「ほぉ!母肉を出汁を採るだけ使うとは、なんと贅沢なこと・・ほほほ・・」

「これで柔らかな娘肉の味が一段とひきたち、美味しくお召し上がりになれるのでございます」

料理番がぐるぐるとハンドルを回すと、少しづつ母肉が大鍋へと下がっていく。熱さと恐怖で、化鳥のような鳴き声をあげ続けている母肉。

「さぁ、最後のひと鳴きを、お楽しみくださいませ」

料理番が、ハンドルを大きく回すと母肉は大鍋の中へ、けたたましい鳴き声を残して消えていった。
             ☆二人目の料理番 (母娘肉の炭火焼き)



「ぎゃぁああーーーーーーっ!」

母肉と娘肉が、のたうち回って狂い鳴いている。熱さから逃れようと身を仰け反らして暴れる牝肉たちを料理番と助手が、汗だくになって棒で押さえつける。

「こうして焼きながら絶えず、秘伝の組み合わせ香辛料を混ぜた油を塗りつけるのでございます。これで、表面を焦がさないで、香ばしいぱりぱりの食感に焼き上げることができるのでございますよ」

「おぉ、良い香りが漂ってくる・・・早く食べたいものじゃ!それにしても面白いくらい良く暴れること。ほほほ・・」

海老のように反り返って悶え狂い、調理場中に鳴き声を響かせ続ける牝肉も、やがて鳴き声が力弱くなり、ついには炭火がぱちぱち爆ぜる音しか聞こえなくなった。
焼き上がった牝肉の尻に太い鉄串を突き刺して焼き網から持ち上げると、そのまま調理台に運んでいく料理番。

「良い具合に焼けました。娘肉はこのまま切り分けて、秘伝のタレで召し上がって頂きます。母肉の方は、更に旬の野菜や茸と混ぜ合わせ、あんかけ風に煮込みたいと思います」

「それは楽しみじゃ!ほんに、美味そうに焼けたこと!」

のたうち回って悶絶した姿そのままに焼き上がった牝肉を、女帝は満足そうに眺めていた。

             ☆3人目の料理番 (母娘肉の壺漬け)



首から下の皮をすべて剥ぎ取られ、たっぷりと香辛料を擦り込まれた娘肉がびくんびくんと痙攣している。長い時間をかけて皮を剥がれる間、この世のものとも思えぬ鳴き叫びをあげていた娘肉も今は、喉から笛のような音を立てているだけである。

「このあと、秘伝の漬け汁に三日三晩漬け込むのでございます。生かさず殺さずの状態で漬けて置くのが壺漬け作りの秘訣。明後日の晩辺りが、程良い食べ頃でございましょう。」

「こんなに壺漬け作りが楽しいものとは思わなかったぞ。実に見事な手際であった!いつか私にも手ほどきしておくれ」

娘肉の皮を手際よく剥いでいく料理番を見て、すっかり女帝は感心して言った。

「畏れ多い御言葉でございます。明後日には出来上がった物をお届け致しますので、どうかそのお味にも御満足して頂けますよう願っております。それでは失礼して、これから母肉の方に取りかかります」

「ひぃ〜〜〜〜〜っ!お、御慈悲を〜〜〜っ!」

必死の声で命乞いする母肉に、無慈悲な一瞥を向けただけで女帝は歩き去って行った。

「さぁ命乞いするのは、もういいかしら?本当に鳴くのは、これからよ!」

料理番の持つナイフの刃先が母肉の肌を、滑らかに切り裂いてゆく。

「きぃえええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

長い長い時間、絶え間ない悲鳴が女帝の耳にまで届いてくる。

「ほほほ・・・・良い声で鳴いていること・・」

女帝は、にっこりと微笑んだ。
宮廷の中庭に、出来上がった壺漬けが届けられた。

「今夜あたりが食べ頃ね!」

母娘の瞼を押し広げたり、口をこじ開けて中の状態を検分しながら女帝が言った。母娘ともども、だらしなくゆるんだ生気のない顔で、聞き取れないほどの微かな喚き声をあげている。あまりにも残酷ななりゆきにすでに発狂していた。

「見事な出来映えだわ。これは私のお母様に届けて食べていただきましょう」

女帝の命で大きな壺を積んだ荷車は、のどかな日射しの中、馬に引かれて田舎道をゴトゴトと揺れながら進んでいった。